3月9日、ビットコインが急落するの中で投資家はリスクヘッジを狙い、ビットコインオプション市場の取引高は過去記録を記録した。
過去最高を記録
仮想通貨デリバティブリサーチ企業スキュー・マーケッツ(Skew Markets)によると、大手取引所──デリビット(Deribit)、レジャーX(LedgerX)、バックト(Bakkt)、オーケーエックス(OKEx)、シカゴマーカンタイル取引所(CME)──の合計取引高は1億9800万ドル(約208億円)となり、2月11日に記録したそれまでの最高額1億7130万ドル(約180億円)を超えた。
3月9日、取引高で世界最大級の仮想通貨オプション取引所デリビットの取引高は、そのうちの86%近い1億7000万ドルとなった。CMEの取引高は210万ドル、だがインターコンチネンタル取引所(ICE)の子会社バックトでは取引がなかった。バックトで最後に取引があったのは2月27日、その前は2月12日だった。
オプション取引は原資産の価値に基づいたデリバティブ(金融派生商品)で、満期日の当日またはそれ以前に、原資産の特定の数量を売買する権利を与える。ただし義務ではない。コールオプションは保有者に買う権利を、プットオプションは売る権利を与える。
「デリバティブ取引はスポット市場に大規模な動きがある時に増加する傾向がある。昨日はリスク資産の国際的に桁外れな急落が要因となった」とスキューの共同創業者兼CEO、エマニュエル・ゴー(Emmanuel Goh)氏はCoinDeskに語った。
オプション取引が下落に拍車?
ビットコインは3月6日、9000ドル超で取引され、週末にかけてさらに上昇が期待されていた。しかし、ビットコインは8日、おそらくプラストークン(PlusToken)の詐欺師による現金化のために9900ドルから9000ドルまで急落し、さらに9日には2カ月ぶりの安値となる7640ドルまで下落した。
急激な下落は、伝統的な市場の急落に伴って起こり、オプション取引が拍車をかけたようだ。
「急落は短期的トレーダーと長期的投資家の双方に、わずか2週間前の価格と比べるとかなりの低コストでビットコインや他の資産を獲得する大きなチャンスを与えた。オプション取引は、そうしたチャンスを生かす効果的な方法の1つ」とタイタス・インベストメント・アドバイザー(Titus Investment Advisors)のCEOでビットコイントレーダーのジャスティン・ギレスピー(Justin Gillespie)氏はCoinDeskに語った。
取引高は年初以来、上昇を続けていた。例えばデリビットでは、1日の平均取引高は12月から1月にかけての5000万ドルから、ここ4週間では1億ドル近くになっていた。
「ここ数カ月、デリビットでのビットコインオプションに対して、投資家、デイトレーダー、マイナーから、関心が爆発的に寄せられている」とスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)のCEO、スー・チュー(Su Zhu)氏はCoinDeskに語った。
最近の記録的な取引高は、ビットコインの価格設定におけるデリビットでのオプションのフローの重要性の高まりを反映しているとチュー氏は付け加えた。チュー氏は1月中旬、オプション取引高の高騰を予測するツイートを投稿していた。
未決済建玉の増加
スキュー・マーケッツによると、ビットコイン価格が下落するにつれて、世界中の未決済建玉──行使日を迎えていない、行使あるいは現物引き渡しもされていないオプション契約の合計──は、3月8日の7億9800万ドルから3月9日には8億4100万ドルに上昇した。
オープンポジションは、年初の6週間で2億5000万ドルから9億5000万ドルに上昇し、それ以来、上昇を続けている。これはビットコイン市場への機関投資家の参入の増加のサインだ。
この先も、ビットコインのオプション市場は高い取引高となり続ける可能性がある。2020年5月のマイニング報酬の半減期、コロナウイルスの大流行、サウジアラビアとロシアの間の原油価格をめぐる全面戦争の見通しなどを前に、不透明性は高い継続する可能性が高いためだ。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock/Joseph Sohm
原文:Bitcoin Options Saw Record Volume of $198M Amid Recent Price Drop