「3.11」ビットコイン価格の推移で9年を振り返る

2011年3月11日、東日本大震災が起きた時、ビットコイン価格はわずか0.9ドルだった。それから9年の間に価格は大きく上昇し、現在、ビットコインは7,928ドル付近で取引されている。実に8000倍以上の価格上昇だ。これまでの9年間を振り返ってみよう。

09年1月に誕生したビットコイン。最初の取引時の価格は0.0025ドル

ビットコインが生まれたのは2009年1月のこと。翌年2010年5月にピザ2枚(25ドル)と1万ビットコインが交換されたことは広く知られている。この時の価格を計算すると、1BTCは0.0025ドルで取引されたことになる。

その後、徐々にビットコインの取引所・交換所が整備された。ビットコインでの支払いを受け付ける小売店が登場し、価格の大きな上下動を魅力に感じてか多くの投資家が参入した。初期のビットコインは、知名度の上昇をきっかけに値段が上昇しているようだ。

以下で各年の3月11日のビットコイン価格を見ていこう(初期のデータは参考)。価格はInvesting.comのデータを活用した。

2011年3月11日:0.9ドル
2012年3月11日:4.9ドル

上昇の勢いが加速するのは、ビットコインのマイニング報酬が半額になる「半減期」を初めて迎えてからだ。2012年11月に半減期を迎えることになる。新規ビットコインの供給量が減るため買いが優勢になった見られ、上昇した。

2013年3月11日:48.4ドル

その後上昇傾向は続き、2013年12月にはついに1000ドルを超えることになる。

しかし2013年の終わりから2014年の始まりにかけて、ビットコインは試練に直面した。中国政府が金融機関によるビットコイン取引を禁止すると発表し、相場は急落したのだ。

さらに2014年2月には、当時世界最大手の仮想通貨取引所Mt.Gox(マウントゴックス)が、480億円相当にも及ぶビットコインの流出事件を引き起こしたこともあり、相場は長期の低迷期に入った。

2014年3月11日:608.7ドル
2015年3月11日:295.6ドル

2015年1月から半年以上かけて相場の底が確認され、ビットコインは2015年10月から上昇を始めた。

2016年3月11日:419.1ドル

2016年5月には、日本で仮想通貨を定義した改正資金決済法が成立。7月にはビットコインが再度の半減期を迎え、2017年のバブルまで価格は細かな上下動をしつつも上昇していった。

2017年3月11日:1179.2ドル

17年4月に改正資金決済法が施行され、時を同じくしてビットコイン価格は上昇の速度を強めることに。そして17年12月、ついに価格は一時1万9000ドルを超えた。この価格は20年3月現在もなおやぶられていない最高値。この年は年初から10倍以上の上げ幅となった。その後の急落ぶりを見れば、この時の相場が“バブル”と言われるのも仕方ないだろう。

2018年3月11日:9529.6ドル

18年に入り、相場は急落。18年1月にはコインチェックから680億円相当の仮想通貨が流出するという事件もあり、バブル崩壊は決定的となった。その後、ビットコイン価格は低迷期に入る。

2019年3月11日:3870.3ドル

しかし、2018年12月から2019年3月にかけてビットコイン価格は底を確認し、上昇を始めた。19年6月にはフェイスブックのデジタル通貨「リブラ」が発表され、ブロックチェーンや仮想通貨・暗号資産があらためて注目を集めた。2019年7月には1万2000ドルを超え、底値から3倍以上上昇している。

2019年には改正資金決済法や改正金融商品取引法が改正され、ビットコインなどの仮想通貨は「暗号資産」へと呼称が変更された。それらの法律は6月までに施行される予定。2020年5月にはビットコインが3度目の半減期を迎えようとしている。

2020年3月11日:7860ドル

そして20年3月11日は8000ドルを割った水準で推移している。20年は年初、7000ドル前半の水準だったが、米イラン関係の緊張激化などもあり、2月には1万300ドルまで価格は上昇。

しかし2月下旬から3月に入り、世界的な株安などもあってかまた一段と価格を下げている。ただ20年は3回目の半減期を迎えることとなっており、それをきっかけとして価格が上昇するとの予測もある。

果たして1年後の2021年3月11日、ビットコインはいくらになっているのだろうか。22年、23年、そして将来どうなっていくのだろうか。

文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:Parilov via shutterstock.com