デジタル英ポンド、「課題」を突きつける可能性:英中銀総裁

イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(Bank of England)の総裁をまもなく退任するマーク・カーニー(Mark Carney)氏は、イギリスで中央銀行デジタル通貨(CBDC)がローンチされた場合の、通貨ガバナンスへのリスクの可能性を強調した。

2020年3月12日(現地時間)に発表されたイングランド銀行の研究成果報告書の前書きの中でカーニー総裁は次のように述べた。「CBDCは多くのチャンスをもたらすが、通貨や金融の安定性の維持にとって大きな課題も生む」

ロイター(Reuters)が報じた通り、カーニー総裁は、イングランド銀行がデジタル英ポンドを世に出すことに向けて動く際、「非常に慎重に設計」しなければならないと述べた。

これらのコメントはイングランド銀行総裁としてのカーニー氏の最後の言葉の一つとなる。カナダ人のカーニー総裁は、3月13日にイングランド銀行を去り、気候変動アクションと気候変動ファイナンス担当の国連特使という新しい任務に就く。カーニー総裁の後を継いでイングランド銀行総裁に就任するのは、現在金融行為監督機構(Financial Conduct Authority)のトップを務めるアンドリュー・ベイリー(Andrew Bailey)氏だ。

カーニー総裁は、ビットコインの価値の高まりは金融安定性に対しての脅威ではないと述べるなど、これまでの発言から、中央銀行の人間としては比較的仮想通貨に賛成の姿勢を取っているようだった。総裁はまた、デジタル通貨がいつか、国際的準備金通貨として米ドルに取って代わる可能性もあると示唆していた。

翻訳:山口晶子
編集: T. Minamoto
写真:Shutterstock
原文:Digital Pound Could Present ‘Challenges’ for UK, Says Mark Carney