ビットコインは、2020年3月13日早く(現地時間)に12カ月ぶりの安値を記録した後、世界的株式市場でのポジティブな動きと並んで、素早く反発した。
ビットコインは現在、11時15分(日本時間)に付けた3867ドル(約41万円)の安値から約40%値上がりして、5415ドル(約58万円)付近で取引されている。CoinDeskのビットコイン・プライス・インデックス(Bitcoin Price Index)によれば、3867ドルは、2019年5月25日以来の最安値であった。
株式市場も、ビットコインの回復値上がりと並んで、上昇している。
S&P 500先物は現在、3%以上の増加を記録し、ユーロ圏の指標銘柄インデックス、ユーロ・ストックス50指数(Euro Stoxx 50)は2%以上戻した。
アジアの市場は取引開始時には、ウォールストリートでの前夜の下落をなぞる形で下落したが、大引前にはその下落の大半を回復した。
年初以来の値下がり
ビットコインの回復は目覚ましく思われるが、それでも3月12日早く(現地時間)に記録した8000ドル(約85万円)近くの水準からは2000ドル(約21万円)近く安い。
ビットコインは現在、年初に比べて27%値下がりしている。ビットコインが1万500ドル(約112万円)近くで取引されていたわずか1カ月前には、年初比で46%値上がりしていた。
その頃、ビットコインはゴールドに大きく差をつけて勝っていた。ゴールドは年初以来6%の値上がりを記録していたのだ。しかし、3月13日(現地時間)時点では、7.5%の年初比値上がりでゴールドが再びトップに立っている。
年間の値上がりは3月12日(現地時間)、コロナウイルスを引き金とした、リスク資産の容赦ない急落の間に、ビットコインも約39%値下がりして消し去られてしまった。結果として起こったリクイディティ危機は、ビットメックス(BitMEX)のような有名仮想通貨デリバティブ取引所における大規模なロング・スクイーズ(強制的な清算)によって際立たされた。
修正的回復?
8000ドルから3867ドルへのビットコインの突然の急落は、テクニカル分析の観点からは引き伸び過ぎに思われた。
「最も最近のビットコインの反発は、2019年9月と11月に最後に見られた過剰売りの水準までBTCを押し上げた」と、モーガン・クリーク・デジタル(Morgan Creek Digital)の共同創業者兼パートナー、ジェイソン・A.・ウィリアムズ(Jason A. Williams)氏は3月13日(現地時間)、ツイートしている。
確かに、幅広く活用され、ゼロから100の間の数値をとる相対力指数(RSI)は、2018年11月以来の最低水準である15に落ちた。30未満の数値は、ビットコインが売られすぎていることを示す。
結果として、ここ数時間で見られた値上がりは、投資家が先立つ急落が激し過ぎると考え、ショートポジションを清算することで売り圧力を緩和するときに起こる、「売り過ぎに対する反発」だった可能性がある。
投資家のリスク心理に焦点
「ビットコインは、コロナウイルスの感染カーブに安定が見られれば持続可能な回復を見せ始めるリスク資産とのバランスを取り戻すでしょう」と、デジタル・アセッツ・データ(Digital Assets Data)の共同創業者兼CEO、マイク・アルフレッド(Mike Alfred)氏はCoinDeskに語った。
最新の報道によれば、コロナウイルスはヨーロッパとアメリカで広がり続けている。そのため、株式市場の現在の上昇は、チャートに促された反発、あるいは投資家が連邦準備制度理事会(FRB)の金融システムへの1兆4000億ドル(約150兆円)規模の流動性供給の決断から勇気をもらったのかもしれない。
回復がアメリカにおける取引時間中に勢いを増せば、ビットコインは再び6000ドル(約64万円)以上で受け入れられる可能性も大いにある。
しかし、ウイルスの流行が減速の兆候を見せない限り、株式とビットコインのさらなる下落の動きのリスクは高いままだ。
それでも、アルフレッド氏によれば、5000ドル(約53万円)割れの下落は一時的なものとなるだろう。2017年第4四半期の6000ドルから2万ドル(約213万円)への大幅な値上がり前、および2018年の最初の5週間の間にビットコインを買った、長期的保有者からの根本的な需要が大きすぎるからだ。
ブロックチェーン情報企業イントゥーザブロック(IntoTheBlock)によれば、5700ドル(約61万円)未満でビットコインを獲得したアドレスは現在、1219万存在する。
特に、マイナーの報酬半減期(ビットコインの供給削減)が2カ月後に予定されている現在、これらの人々は、5000ドル未満への値下がりにおいてエクスポージャーを増加させる可能性がある。
アルフレッド氏は、2500ドル(約27万円)から5000ドルの間の値幅が投資家にとって素晴らしい価値をもたらすと述べた。
底打ち?
2013年末に始まった弱気市場は、2015年の200週平均で勢いを失った。その頃、平均は220ドル(約2万3000円)近くをつけていた。
2017年12月に記録した史上最高値2万ドルからの急落も、2018年12月の200週MA(移動平均)で終了している。
現在の週足ローソク足チャートについた長い下方のヒゲは、200週平均未満での売り手の疲弊を示唆している。過去が参考になるとしたら、ビットコインは4000ドル(約43万円)未満で底値を見つけたようだ。
そのことは必ずしも、1万ドル(約107万円)へのV字回復を示唆するものではない。株式が急落を再開すれば、ビットコイン価格は5000ドル未満の水準に再び値下がりするかもしれない。
※筆者は当記事執筆時点で仮想通貨を保有していない。
翻訳:山口晶子
編集: T. Minamoto
原文:Bitcoin Recovers 40% From 12-Month Low Below $3.9K