ビットコイン投げ売りは4日前に予想できた?——取引所データでクジラ観察

2020年3月12日のビットコイン(BTC)価格の大幅な下落は、3月8日にその始まりを見ることができると、取引所への資金流入のデータが示唆している。

時価総額でトップの仮想通貨ビットコインは3月12日、7900ドル(約85万円)から10カ月ぶりの安値4700ドル(約51万円)へと急落し、3月13日にはその値下がりを12カ月ぶりの安値である3900ドル(約42万円)にまで広げた。

ブロックチェーン分析企業クリプトクアント(CryptoQuant)のデータは、主要な取引所への資金の流入、預け入れが、3月8日からいつもより急な速度で増加し始めたことを示している。この解釈の1つは、クジラ(大口投資家)がビットコインを放出するための組織的な行動という可能性だ。

横軸:時間の経過が分かる、ブロック番号を示す。
縦軸(左側):ビットコイン価格を示す。
縦軸(右側):すべての取引所に流入したビットコインの数を示す。

3月8日にマイニングされたブロック番号620800から、コインがより速い速度で取引所へと流入し始めた。このブロック以前は、トランザクションごとの平均流入数は約1000BTCであった。しかしその後、3月12日の値下がりに先駆けて、流入数は1500〜6000BTCとなった。

一方、ビットコインの値下がりは、3月8日の10%近い下落から始まった。それからの3日間、ビットコインはわずかな値下がりしかしなかったが、3月12日に39%という驚くほどの急落を見せた。

これが示唆するのは、デジタル通貨を大量に保有する個人あるいは組織であるクジラが、コイン放出の少なくとも4日前に、コインをウォレットから取引所へと動かし始めていたということだ。

同様のパターンが、世界最大の仮想通貨取引所バイナンス(Binance)でも見られる。ブロック番号620817の前には、ブロックごとの平均流入数は約100BTCであった。その後、ほぼすべてのブロックにおいて、流入数は130〜1702BTCとなった。

注目すべきことに、1702BTCという大量の流入は、ビットコインが8000ドル(約86万円)近くで取引されていたブロック番号620965で観測された。

繰り返しになるが、このデータは、クジラが3月8日以降、大規模な清算に備え始めていたことを示す。

同様にビットメックス(BitMEX)への流入数も、ブロック番号620800〜621300の間で、97〜1994BTCであった。

1000BTCのトランザクションは、ビットコイン価格が7900ドル近くにあったブロック番号621256で記録されている。

取引所への流入数は重要な指標?

3月12日の急落の規模を予測できた人がいるというのは疑わしい。それでも、取引所へのビットコインの流入の増加は、大口の売り手が資産を手放す準備をしていたことのサインであり、それは通常、大幅な値下がりにつながる。

教訓:取引所への流入数を注視することは、レバレッジドトレーダーが市場で判断を誤るのを防ぐ上で役立つ。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Shutterstock
原文:Whale Watching: Exchange Data Contained Early Warning of Thursday’s Bitcoin Dump