見解
- 法定通貨が売られる中、ビットコインは値上がりしている。ビットコインは、アメリカの株式市場での値上がりがヨーロッパの株式市場をけん引する形となれば、さらに値上がりする可能性もある。
- テクニカルチャートは、5926ドル(約65万円)の主要な抵抗線までの値上がりの余地があることを示唆している。
- それ以上の値上がりは、時足チャートでのブレイクアウトを確かめ、価格を6400ドル(約70万円)へと押し上げるかもしれない。
ビットコインは2020年3月19日午前(協定世界時)、値上がりを続けており、外国為替市場で世界的にドルが買われる中、回復力を見せている。
当記事執筆時点で、ビットコインは24時間で9.4%値上がりし、5670ドル(約62万円)付近で取引されている。CoinDeskのビットコイン・プライス・インデックス(Bitcoin Price Index)によれば、ビットコインはアジアでの取引時間中に5260ドル(約58万円)付近で取引され、それ以来値上がりを続けている。
ドル以外の主要通貨は下落
ビットコインは米ドルに対して値上がりしているが、大半の法定通貨は現在下落している。例えば英ポンドの対ドル為替レートは、1980年以来の最低水準となる1ポンド1.1555ドル付近にある。この通貨ペアは、今週8%近く下落した。
オーストラリアドルは3月19日、20年ぶりの安値となる1豪ドル55米セントへと下落し、現在は前日比0.6%値下がりしている。
マクロアナリストのホルガー・ツァエピッツ(Holger Zschaepitz)氏が指摘した通り、米ドルはここ6日間の取引日で、すべての主要通貨に対して値上がりした。
ドル高は、コロナウイルスによる世界経済後退への恐怖から、多くの投資家が資産をドルに交換しようと、日本円やスイスフランなどの安全な避難先資産さえをも含むすべてを売っていることを示唆している。INGのグローバル市場担当責任者によれば、「キャッシュが王様だとしたら、ドルのキャッシュは現在、世界の大統領である」
欧米の株式市場は値上がり
しかしビットコインは、新たなキャッシュ過剰の動きに屈することなく、ヨーロッパの株式と並んで米株式市場も好調を記録すれば、さらに値上がりする可能性もある。当記事執筆時点では、ユーロ圏の指標銘柄のインデックス、ユーロ・ストックス50指数(Euro Stoxx 50)は、1.3%上昇している。
オーストラリアからカナダに至る各国の中央銀行が、金融システムに大量のリクイディティを供給するために量的緩和政策を行う中、ウォールストリートにおけるリスクリセットの可能性も排除はできない。
ビットコインのテクニカルチャートもまた、より強力な回復の値上がりの余地を示唆している。
日足チャート
ビットコインは3月18日、心理的な支持線である5000ドル(約55万円)を守り、小さなハンマーローソクを生み、3月16日に兆候の見られた売り手の疲弊が確認された。
ハンマーローソクは、売り手がその日の最安値で価格を維持することができない時に出現し、トレンドの逆転の初期の兆候と幅広く考えられている。
MACDヒストグラムはゼロのラインの下で高めの安値を見せ、弱気の勢いの低下を示唆している。
時足チャート
ビットコインは19時(日本時間)までの60分間、大きなローソクと芯が小さいかあるいは存在しない、陽の丸坊主を生み出した。この強気の指標は、取引開始から終了まで、買い手が支配権を握っていたことを示す。
状況は、上昇三角の頂点5926ドルまでの値上がりに有利なように見える。そのレベルより上での高値ブレイクは、より多くの割安狙いの投資家の市場参加を引き起こし、(12月の安値である)6425ドル(約70万円)という次なる抵抗線への強力な値上がりを生む可能性もある。
逆に三角ブレイクダウンは、3月16日の安値4446ドル(約49万円)が再び試されることに道を開く可能性がある。
※筆者は当記事執筆時点で仮想通貨を保有していない。
翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
原文:Bitcoin Sees 9% Gain as Turmoil Hits the Forex Markets