デジタル資産運用会社のウェーブ・フィナンシャル(Wave Financial)は、ケンタッキー州のバーボン年間生産量をトークン化し、世界中の投資家が成長を続ける米ウイスキー市場に目を向けられるようにしようとしている。
3月18日(現地時間)に同社が発表したところによると、ケンタッキー州ダンビルに拠点を置くウィルダネス・トレイル蒸留所 (Wilderness Trail Distillery) との間で、最大2000万ドル(約22億円)相当のバーボンウイスキー1万から2万バレルをトークン化する契約を締結しており、これは専用のデジタル資産ファンドを通じて公開される。
「ウェーブ・ケンタッキー・ウィスキー2020デジタルファンド(Wave Kentucky Whiskey 2020 Digital Fund)」と呼ばれるこのファンドでは、投資家は今年樽詰めされるウイスキーの棚卸資産にリンクした資産担保トークンを購入できるようになる。ウィルダネス・トレイル蒸留所に保管・管理され、このファンドは400万本分ものバーボンに紐づくとウェーブ社は見積もっている。
米国ウイスキー市場は、2018年に最も多く輸出された蒸留酒となるなど、復興期を迎えている。過去10年間、需要を満たすために、国内生産能力は年々拡大を繰り返してきた。
同社によると、トークン化することで、投資家はバーボンの価値上昇へのエクスポージャーを獲得することができる。また、ウイスキーが最初に蒸留され、投資家にトークンが発行されてから3年後に、業者に卸された際の収益の一部を分配することができる。
ウィスキーの特性
ウェーブ社長で、新ウイスキーファンドのマネージャーであるベンジャミン・ツァイ(Benjamin Tsai)氏は、同ファンドが投資家に「これまでは、高い初期費用や最低購入額、低い流動性、生産能力の不足、技術的ノウハウのために利用できなかった、このユニークな資産クラスにアクセスするめったにない機会」を与えたと発表で述べた。
時間とともに消滅し価値を失う他の多くの消費財とは異なり、ウイスキーはその逆である。ウイスキーは古くなればなるほど価値は高まる。
これはウイスキーの自然な熟成過程によるものだ。一度蒸留されると、酒は樽に貯蔵されるため、材料は混ざり続け、水は蒸発するか木の樽に染み込む。こうしてウイスキーの風味を高め、その価値を高める。
特にウェーブが選んだバーボンでは、最初に蒸留したときの1バレル1,000ドルから、5年後には4,000ドルにまで利幅が拡大する可能性がある。
ファンド管理人と監査人が四半期ごとにバレルの価値を計算し、定期的なインベントリレポートにて提示され、投資家にトークンのベンチマーク価格を提供すると、ツァイ氏はCoinDeskに対して述べた。
ユーザーは好きな価格でトークンを交換できる。同社はまた、いくつかのセキュリティトークン取引所と、ウイスキー担保トークンのより良い取引を促進するため、公式な流通市場インフラを開発するための協議を行っている。
この新しいトークンはブロックチェーンプロトコル間で話題を呼んでおり、一部の関係者はウェーブにアプローチして、自分たちのプラットフォームでローンチすることを検討しないか尋ねている。「このために使う可能性のあるプロトコルに目を光らせている」とツァイ氏は述べ、テゾス(Tezos)と提携しているデベロッパーハウスのヴェルタロ(Vertalo)を使用してトークンを作成していると付け加えた。
同社広報担当者は、同トークンは世界中から適格投資家を募っており、第1回締切は3月末、第2回は6月末であると付け加えた。最終締切は9月になる見通しだ。トークンの発行は、米証券取引委員会 (SEC) が定めた1年間のロックアップ要件に準拠するため、販売から1年後に行われる。
翻訳:新井朝子
編集:T.Minamoto
写真:Image via Shutterstock
原文:Wave Financial to Tokenize $20M Worth of Bourbon for New Whiskey Fund