3月23日に金の価格は上昇し、多くの仮想通貨も同様に上昇した。コロナウィルスの市場と経済への影響を緩和するため、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の抜本的な量的緩和政策に支えられてのようだ。
ビットコイン(BTC)は3月23日協定世界時(UTC)20時半(日本時間3月24日5時半)時点で7%上昇した。仮想通貨市場にとって静かな週末を終えた後の過去24時間は5600ドルから6600ドルで取引されていた。
この日注目すべき仮想通貨資産のパフォーマンスは、ビットコインキャッシュ(BCH)が13%上昇、ライトコイン(LTC)は7%アップ、ビットコインSV(BSV)は6%アップだ。CoinDeskの資産ボードのうち下落したものはデクレッド(Decred:DCR)だけで、それも1%未満の下落である。
更なる経済的落ち込みを食い止めるためのFRBによる無制限の資産買い入れと3000億ドル(約33兆円)の緊急融資制度の発表は仮想通貨と金の価格の上昇と一致する。金は3月23日協定世界時(UTC)20時半時点で3%上昇した。しかし中央銀行の動きは下がり続けるS&P 500種指数を止めるには十分ではなかった。協定世界時(UTC)20時半時点で2%下落している。S&P 500種指数は2016年の水準で、ほぼ4年間の増加分を帳消しにしている。
「この3月に起きたように、この先近い将来も世界の金融市場におけるコロナウィルスのパンデミックによるボラティリティと不確実性はますます増加しそうだ」と仮想通貨リサーチ会社Vision Hillのパートナー、ダン・ ツェラー(Dan Zuller)氏は述べた。
アメリカは未曽有の経済停止状態の真っただ中にあり、終わりが見えない。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、ニューヨーク州はもっとも打撃を受けた地域の1つだ。
「社債や政府系MBS(不動産担保証券)の購入という今朝の発表のようにFRBは金融システムを支える施策を実行しているので、担保販売やレバレッジの巻き戻しサイドからのビットコインや金への圧力は緩和されるだろう」とブロックチェーンによる天候保険プラットフォームArbolの設立者、シッダールタ・ジャー(Siddhartha Jha)氏は述べた。
仮想通貨の投資家らは、無限に紙幣を印刷して支出を押し上げた時に何が起きるのかを見たがっている。
「払うべき代償は長期的にはインフレになる。インフレ予想が出てきており、米国債(sic)のカーブにはすでに織り込まれている」とエコノミストでトレーダーのアレックス・クルーガー(Alex Kruger)氏はツイートした。
政府の対策が今後のインフレ率にどう影響するかはまだ分からないが、しかし投資家は仮想通貨や金のような代替の資産クラスに目を向ける可能性がある。それでも金融システムへの衝撃で人々はタンス預金用に現金を得るために資産を売るかもしれず、これらの資産は人々が望むものではないかもしれない。
ウォールストリートの元アナリストで現在は自身のスタートアップArbolで仮想通貨を扱うジャー氏は以前の金融危機を鮮明に思い出し、仮想通貨以前の時代の重要な洞察がある。「2008年にはJPモルガンの金利デスクで金融危機の真っただ中にいて、金は安全性を提供すると期待されていたがリーマンブラザーズ(Lehman Brothers)の破産で崩壊した」と彼は述べた。
翻訳:下和田 里咲
編集:T.Minamoto
原文:Investors Look to Gold, Crypto After Fed Goes on QE Buying Spree