世界的な市場下落は、ビットコイン価格が他の資産とともに下落したとしても、間接的にロシアのビットコインマイナーに恩恵をもたらしている。
新型コロナ、サウジとの原油価格戦争
その理由は、ロシアの通貨ルーブルが、2週間で1ドル60ルーブルから80ルーブルへと急速に下落したためだ。
さらに新型コロナウイルスのパンデミックが全市場を下落させたことに加えてルーブルは、サウジアラビアが始めた原油の価格戦争による打撃も受けた。サウジアラビアは原油価格を過去3年の最低水準まで下落させた。
ルーブルの下落とともに、マイナーにとって最大のコストの1つである電力料金のロシアでの平均価格も下落した。
ロシアでのマイニングの主要地域であるシベリアでは、現地のマイニングファームが利用できる電力の平均価格は、5セント/メガワット時から4セントへと下落した。
同時にビットコイン価格も下落しているが、価格は米ドルで計算されているため、ロシアのマイニングファームにとっては弱気市場の影響は少し緩和されていると複数のロシアのマイニングファームがCoinDeskに語った。
つまり、ビットコインが3月23日に約6200ドルで取引されたとして、仮にビットコインをルーブルで売ったとしたら、価格は2週間前なら6200ドルに60ルーブルを掛けたもの(37万2000ルーブル)だったが、今なら80ルーブルを掛けた価格(49万6000ルーブル)になる。
そのため、ロシアのマイナーにとっては、収益への打撃は緩和されている。
ルーブル下落はマイナーにとってプラス
「ビットコイン価格は米ドルで換算されているため、ルーブルの下落は(マイナーにとって)プラスになる」とインテリオン・マイニング(Intelion Mining)の創業者アレクサンダー・シャシュコフ(Alexander Shashkov)氏は述べた。
ロシア工業都市ブラーツクにあるマイニングファーム、ビットリバー(Bitriver)のイゴール・ルネッツ(Igor Runets)CEOは、先週、マイナーと合計24メガワット時にのぼる2つの新しい契約を結んだと述べた。
ファームの費用はすべてルーブル換算であり、そのため「ルーブルの下落とともに、ロシアは(マイニング)市場でのポジションを強めている」とルネッツ氏は述べた。
同氏はさらに、今後ルーブルが上昇する可能性に備えるために、将来に合意した価格でドルを買うためのスプレッド契約を活用する予定だ。ビットリバーは現在、そうした契約ついてロシアの銀行と交渉中とルネッツ氏は語った。
「ドルの為替レートは電力価格に影響を与えない。給料や他のコストもそこまで早く上がらない」とブラーツクの別のマイニングファーム、クリプトリアクター(Cryptoreactor)のビジネス開発マネージャー、ザカール・フェドロフ(Zakar Fedorov)氏は述べた。
「外国のマイナーからのリクエストも受けているが、通常より多いわけではない。ビットコイン価格の急落と新型コロナウイルスをめぐるヒステリーのため、こうした状況では多くの人はキャッシュを好む」とフェドロフ氏は付け加えた。
ロシアでのマイニングは、ほとんどがシベリアに集中している。シベリアは年間を通して気温が低いため強制的な冷却が不要で、水力発電所が豊富なためにロシアの他の地域よりも電力料金が安くなっている。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Bitriver mining farm in Bratsk, Russia. Photo by Anna Baydakova for CoinDesk
原文:Ruble’s Drop Eases Pain of Lower Bitcoin Prices for Russia’s Miners