米連邦議員候補に経済的支援を行うことで、仮想通貨に有利な政策の推進を望む、新たな政治資金団体がある。
ケイトー研究所(Cato Institute)の元職員、タイラー・ワーティー(Tyler Whirty)氏が設立したHODLpacだ。様々な連邦議会議員候補に資金を向けることでブロックチェーン法を推進することを企図しており、そこには「分散型」の工夫が見られる。
寄付者は最終的に、どの候補者が支援を受けるべきかを投票するためにイーサリアムベースのトークンを利用することになるかもしれないが、始めは投票に仮想通貨トークンは利用されない。HODLpacは、ピープス・デモクラシー(Peeps Democracy)の構築した資金調達プラットフォーム、ウィー・ザ・ピープス(We The Peeps)を利用すると、ワーティー氏は述べた。
寄付者には仮想通貨業界の有力者たちが
連邦選挙委員会(Federal Election Commission)に提出された書類によれば、HODLpacの寄付者には、仮想通貨業界の有力者が名を連ねている。
同書類には、ジェミニ(Gemini)のキャメロン(Cameron)およびタイラー(Tyler)のウィンクルボス(Winklevoss)兄弟、コインベース(Coinbase)のブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏とエミリー・チェ(Emilie Choi)氏、DRWのドナルド・R.・ウィルソン・ジュニア(Donald R. Wilson Jr)氏、ポリチェーン(Polychain)のオラフ・カールソン-ウィー(Olaf Carlson-Wee)氏、アンカレッジ(Anchorage)のネイサン・マコーリー(Nathan McCauley)氏、そしてブロックチェーン協会(Blockchain Association)のクリスティン・スミス(Kristin Smith)氏といった名前を見ることができる。
スミス氏とポリチェーンの社長、ジョセフ・イーガン(Joseph Eagan)氏、コンパウンド・ファイナンス(Compound Finance)の弁護士ジェイク・チェルビンスキー(Jake Chervinsku)氏が、創立時の役員として挙げられている。
申請書類によれば、HODLpacはこれまでに、2万1000ドル(約230万円)の資金を調達し、運営費用として約4600ドル(約51万円)を使用した。
現在HODLpacは仮想通貨での寄付を受け付けていないが、ワーティー氏は、「近い将来」にはそうできることを見込んでいる。
HODLpacの運営は1月に始まり、多くの創設寄付者を確保して2020年3月23日(現地時間)に稼働し始めたと、スミス氏はCoinDeskに語った。
「仮想通貨にとって適切な公共政策を得ることは、業界の成功と、技術の前進にとって不可欠」とスミス氏は語った。「私にとってHODLpacは、仮想通貨政策策定ツールボックスの新しいツールである」
HODLpacと同様に、政治的リーダーたちへの啓蒙を支援する組織はコイン・センター(Coin Center)やデジタル商工会議所(Chamber of Digital Commerce)など多くあるが、これまでのところ継続的な資金調達プロジェクトは存在しなかった、とスミス氏は語る。
寄付先の推薦や、政治家のランク付けも
HODLpacはまだどの候補者にも献金をしていないが、250ドル(約2万8000円)を超える寄付をした者は誰でも、受け手となる候補を推薦できると、ワーティー氏は述べた。
同氏によれば、連邦議会で仮想通貨を擁護した候補者の例としては、共和党のトム・エマー(Tom Emmer)下院議員(ミネソタ州)、民主党のダレン・ソト(Darren Soto)下院議員(フロリダ州)、共和党のウォーレン・デビッドソン(Warren Davidson)下院議員(オハイオ州)が挙げられる。
HODLpacはさらに、政策がどれほど仮想通貨に有利かに基づき、連邦議員や候補者をランク付けすると、同氏は語った。
翻訳:山口晶子
編集:T.Minamoto
写真:Shutterstock
原文:HODLpac Enlists Winklevoss Twins, Brian Armstrong in Bid to Influence Crypto Policy in Washington