腕時計をブロックチェーンに登録──ブライトリング、真正性を証明

上の写真の「ブライトリング トップタイム リミテッド エディション」は1960年代、ジェット機で世界を飛び回る人たちに人気だった手巻きクロノグラフの現代版。

初代モデルは、映画『007 サンダーボール作戦』でジェームズ・ボンドが身につけていた。007のブライトリングには小型のガイガーカウンターがついていたが。

ブライトリング トップタイムが発売されたのは1960年代。半世紀以上を経て、登場したリミテッド エディションは、これまでのトップタイムとは少し違っている。

本物であることの証明書を発行する代わりに、同社は1本1本の時計をプライベートブロックチェーンに登録し、オーナーからオーナーへとその由来を追跡している。

こうした取り組みによって、実世界で展開されているエンタープライズ・ブロックチェーンの中でも珍しい事例となっている。なぜなら、ブロックチェーンに取り組んでいる企業のほとんどは、宣伝の域を出ていないから。

「ブライトリング トップタイム リミテッド エディションは、ブロックチェーンをベースにしたブランド初のデジタルパスポート付きの時計です。クリック一つで、時計の真正性や所有者を確認することができます」と同社はプレスリリースで述べた。

ブライトリングは「ブランドとオーナーの永遠の関係」を築くことを目指すフランス企業アリアニー(Arianee)のブロックチェーンを使用している。

このソリューションは、時計の保証と時計そのものを結びつけ、書面は使わない。オーナーは、時計のデジタル署名に基づいて、公認ディーラーによるサービスを受けることができる。

アリアニー・ブロックチェーンは、同社が「プルーフ・オブ・オーソリティ(proof-of-authority)」と呼ぶ合意メカニズムを通じて、許可型と非許可型の要素を組み合わせている。

商品を売りたいユーザーが買い手とブロックチェーンを使ってやり取りできるという点では非許可型だが、台帳の検証とトークンの発行は、参加企業によって管理されている。

1884年創業のブライトリングは、プロジェクトについて前向きで、「この最先端テクノロジーにより、進歩的な顧客サービスから革命的なケアプログラムまで、顧客のみなさまとブランドが匿名でやり取りできる、幅広い新オンラインサービスの導入が可能」になるとリリースで述べた。

この腕時計の値段は4990ドル、現在の1ビットコインの価格の70%程度。オンライン販売を始めた最初の時計メーカーの1つであるブライトリングは今月から発売を開始している。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Breitling
原文:Luxury Watchmaker Breitling Adds Its First Timepieces to a Blockchain