野村證券と野村総合研究所(NRI)は、国内では初となる、ブロックチェーンの基盤を使ったデジタル債券の発行を行った。起債した総額は3000万円。
2社が3月30日に発表した内容によると、発行体はNRIで、販売する債券は2種類。「デジタルアセット債」と呼ばれる債券は、NRIが投資家を直接勧誘するもので、企業が資金を調達する従来の目的に加えて、投資家がその債券に付随するポイントを買い物などに利用できる仕組みが設けられている。
もう1つは「デジタル債」で、野村證券が投資家を勧誘する証券引き受け形態で起債された。野村は今後、企業がより機動的に資金を調達できる環境を整備するためにも、デジタル債の普及を図っていくと述べた。
金融とマーケティングをデジタルで融合
野村ホールディングスとNRIは、合弁企業のブーストリーを通じてブロックチェーン基盤「ibet」を開発してきた。今回の取り組みでは、ブーストリーが社債の原簿管理を行う。
ブロックチェーンを活用することで、企業は投資家を継続的に把握することができる。またデジタルアセット債は、カフェなどで利用できるポイントが投資家に付与され、発行体(企業)にとっては、より効果的なマーケティングにつながる。
また同日、野村資本市場研究所は、野村証券とブーストリーと共同で「金融市場におけるブロックチェーン技術の活用等に関する研究会」を設立すると発表した。セキュリティ・トークン・オファリング(STO=ブロックチェーンを用いた有価証券による資金調達)などについての研究を行い、今年中にも結果をまとめて、金融当局に向けて提言するという。
同研究会への参加企業は以下の通り。アンダーソン・毛利・友常法律事務所、野村證券、ジェーシービー、野村信託銀行、第一生命保険、野村総合研究所、東京海上日動火災保険、BOOSTRY、西村あさひ法律事務所、富士通、日本電信電話、三井物産、野村アセットマネジメント、三井不動産、野村資本市場研究所。
文:小西雄志
編集:佐藤茂
写真:多田圭佑