新型コロナウイルスが世界経済に大打撃を与え続けるなか、週末の下落を経て3月30日、多くの仮想通貨は主要な株式指数と同様に力強い上昇を見せた。
しかしトレーダーは、すべての市場で上昇が続くと確信していなかった。
ビットコイン(BTC)は8%、イーサリアム(ETH)は6%上昇した。その他、ビットコインSV(BSV)は11%、ビットコインキャッシュ(BCH)は8%、アイオタ(IOTA)は8%上昇した。
これらの24時間の価格変動は協定世界時(UTC)30日20時(日本時間31日5時)時点のものだ。
日経平均株価は取引時間中に大きく売られたが反発、やや下げて1.5%安で取引を終えた。日本時間28日、安倍首相は2008年のリーマン・ショック時に投入した56兆8000億円を上回る経済対策を導入したいと述べた。
ヨーロッパではロンドン株式市場のFTSE100種総合株価指数が1.7%、アメリカではS&P500種株価指数が3.3%上昇した。
31日で2020年第1四半期が終了、期末は通常、ポートフォリオを再調整するタイミングであるため、株式市場が上昇を続けるかどうか、トレーダーも確信を持てていない。
「株価は大きく下がると思う。ビットコインがその動きに連動するかどうかは興味深い」とスイスクオート銀行(Swissquote Bank)のデジタル資産責任者クリス・トーマス(Chris Thomas)氏は語った。
「依然として大きな相関関係」
ビットコインは28日、アメリカ市場がUTC20時に取引を終えるとすぐに売り圧力にさらされた。コインベース(Coinbase)などの取引所ではUTC23時の6672ドルから、UTC30日1時には5853ドルに下落した。
しかし、日経平均が下落し、反発した直後、ビットコインは上昇を始め、UTC12時までに6300ドル付近の値動きとなった。
「ビットコインは依然として全体的に金融市場と大きな相関関係を持っているようだ」と台湾の仮想通貨取引企業Kronos Researchの創業パートナー、ジャック・タン(Jack Tan)氏は述べた。
「私が言えることは、株価はこの先下落し、ビットコインはおそらくその動きに追随するだろうということ。またビットコインはほとんど米ドルで価格設定されているため、ドルの上昇は何らかの圧力を加えていると考えている」
株価への期待が低いことには複数の要因があるとトレーダーらは語った。例えばエネルギー消費は低下し、原油の供給過剰は需要をはるかに上回る供給を生み出し、貯蔵の問題を引き起こしている。3月30日、石油価格は20ドルを割り、2002年以来の低水準となった。
「短期的には在庫と供給の増加が予想される一方、需要の低下により価格はさらに下がるだろう」と仮想通貨仲介企業イートロ(eToro)のアナリスト、ネモ・ティム(Nemo Tim)氏は原油について語った。
貴金属については、3月27日からゴールド価格は調整パターンに入っている。同様のパターンは先週末に株式市場が閉じた数時間後、仮想通貨にも見られた。
ビットコインは他の資産と足並みを揃えることのない、相関関係のない資産であるというビットコイン支持者の以前から主張にもかかわらず、ビットコインはしばらくの間、株式市場に追随しているように見える。
しかし、トレーダーはインフレを引き起こしかねない世界中の記録的な経済刺激策のニュースを警戒している。ビットコインは予測可能な供給スケジュールを持ち、インフレは論理的にはビットコインをより魅力的なものにするはずだ。
例えば、日本の経済刺激策は、仮想通貨の取引高の増加とそれに続く価格上昇をもたらすだろうと市場関係者は考えている。
「ビットコインは先週、アメリカでのインフレ懸念で上昇した。見込み通りに動いたのは今年初めてのこと」とロンドンの相対取引(OTC)マーケットメーカー、B2C2のマックス・ブーネン(Max Boonen)CEOは述べた。
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:CoinDesk
原文:Bitcoin Follows Stock Markets Higher; How Long Will They Move in Lockstep?