中国最大級の貿易ハブ向けに、ブロックチェーンに基づく情報共有プラットフォームを開発すべく、中国の保険最大手傘下のフィンテック企業と、物流複合企業とが提携する。
中国最大手の保険会社である中国平安保険のフィンテック子会社、ワンコネクト・フィナンシャル・テクノロジー(OneConnect Financial Technology)は、広東省-香港-マカオの粤港澳大湾区向けに、ブロックチェーンベースの物流システムを開発するため、招商局港口集団との共同プロジェクトに着手した。中国の国営メディアである中国新聞社が2020年3月31日付で報じた。
「昨年の中央政府によるブロックチェーン技術開発の指示以来、深セン市税関、招商局港口集団、そして平安保険は、国境を超えた物流におけるブロックチェーンの活用を研究するため連携している」と、深セン市税関のシャオイン・チェン(Xiaoying Chen)氏は記事の中で述べた。
このプラットフォームには、中国の税関サービス、港の運営業者、物流企業、金融機関、輸出入企業からの情報が含まれる予定で、これらはブロックチェーン上で共有されたデータベースを通じて単一のシステムにまとめられる。目的の1つは、より低コストで、より効率的な追跡システムを提供することだ。貿易会社にとっては、金融サービスへよりアクセスし易くもなる。
同システムは、貿易会社、物品、物流、契約、書類と証明書についての情報を管理する5つのデータベースを持つことになる。国際取引への政府機関による監視を改善し、金融機関が輸出入に携わる企業に対して貿易金融サービスを提供する処理時間を削減するのに役立つ可能性がある。
ブロックチェーン活用のプラットフォーム台頭
ワンコネクトは、中国が後ろ盾をする平安グループの整備した4大「フィンテックユニコーン」に名を連ねる。同社の焦点の1つは、同社クラウド技術を通じて、ブロックチェーンを従来型の金融サービスに応用することにある。
ソフトバンクは2018年、評価額75億ドル(約8130億円)でワンコネクトのシリーズA資金調達ラウンドを主導した。同社は2019年11月、ニューヨーク証券取引所に上場したが、上場時、12月13日の最初の取引日時点の市場価値は36億3000万ドル(約3940億円)で、3億5900万ドル(約390億円)の調達となった。
中国4大国営銀行の1つである中国建設銀行も、輸出入業者が短期融資のために銀行や貸付機関とつながることのできる、ブロックチェーンを活用した貿易金融プラットフォームに投資をしている。同行は2019年10月、このプラットフォームでの取引高が、2018年の運用開始以来530億ドル(約5兆7500億円)を超えたと発表した。
中国以外では、シンガポールや多くのEU加盟国が、国際取引を円滑にするための独自のブロックチェーンに基づいたプラットフォームの開始に向けて国をあげた取り組みを行っている。
翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Shutterstock
原文:SoftBank-Backed Fintech Firm Joins Chinese Conglomerate to Build Blockchain Platform