2017年、コミュニティー内の白熱した意見の相違のためにビットコインから分岐したビットコインキャッシュは、大きなマイルストーンを迎えようとしている。
ビットコインより先に
東部標準時4月8日午前(日本時間8日夜)になると予想されている63万ブロックにおいて、およそ10分ごとに生成されるビットコインキャッシュ(BCH)の数は12.5から6.25へと半分になる。これはビットコインキャッシュにとって初の半減期で、レディット(Reddit)では一部の人々が、展開を見守ると宣言するスポーツ観戦イベントのようになっている。
今回の半減期は、来月、ビットコインでより大規模に予定されている半減期を暗示するものだ。ビットコインキャッシュの時価総額は、ビットコインのおよそ25分の1。
さらに、もう1つの激しい議論の後にビットコインキャッシュから分岐したビットコインSV(BSV)もビットコインキャッシュのわずか1日ほど後に半減期を迎える。
半減期は非常に重要なものと考えられている。供給が固定されていることで、ビットコイン、ビットコインキャッシュ、ビットコインSVをほとんどの法定通貨から差別化する特徴を浮き彫りにするためだ。さらに、過去にはビットコイン価格の上昇につながった、間違いなく重要な出来事だ。
だからこそ、あるレディットユーザーは「家族とお祝いするため」にビールを買ったと述べた。
ビットコインキャッシュとビットコインSVの半減期が早めに起こる理由の一部には、ビットコインキャッシュがマイニング難易度の調整速度の決定に一時的に異なるアルゴリズムを採用していたためで、それによりブロック生成のプロセスが早くなっていた。
51%攻撃を受ける恐れも
今回の少し早めの日程は、意図しない結果をもたらすかもしれない。
ビットコインSV開発者のブラッド・ジャスパー(Brad Jasper)氏は、今週の半減期は短期的にそれぞれの仮想通貨にとって「悪い」ものになるだろうと述べた。
ジャスパー氏は、マイナーは一時的により稼げる仮想通貨に移ると予想している。マイナーにとって主な収入源はブロック報酬だが、半減期によって突然半分に減らされ、マイニングの採算性は低下する。一方、ビットコインのブロック報酬はあと1カ月ほどは半分にならない。
「ビットコインキャッシュとビットコインSVが半減期を迎えれば、どちらもハッシュパワーを失う。おそらくビットコインも」とジャスパー氏は述べた。
長期的には、ビットコインSVが、トランザクションの成長を優先するネットワークとしての「有用性」のために最終的な勝者になるだろうと同氏は主張した。
ノルウェーに拠点を置くアーケーン・リサーチ(Arcane Research)も、先週発表したレポートで、ハッシュパワーが失われることについて同意したが、さらに踏み込んだ見解を示した。
ハッシュパワーが低下すれば、ビットコインキャッスとビットコインSVは、悪意を持つ者がネットワークのコントロールを握ってしまう51%攻撃に対してより脆弱になるとアーケーン氏は述べた。
だがジャスパー氏は、ビットコインが5月に半減期を迎えれば、状況はすぐに変わると考えていると述べた。ビットコインキャッシュ、ビットコインSVと比べて、もはや採算性は高くなくなるためだ。
とはいえ、半減期というマイルストーンが、何かワクワクするものや特別なことになると誰もが確信しているわけではない。
ビットコインキャッシュ支持派へと離脱する前の初期の頃には、その熱心な活動から「ビットコイン・ジーザス(Bitcoin Jesus)」として知られていたビットコイン・ドットコム(Bitcoin.com)のロジャー・バー(Roger Ver)CEOは、ビットコインキャッシュの半減期は、ビットコインの半減期の歴史を考えると「大した出来事にはならない」と述べた。
「これまでの2回は大した出来事ではなかった。今回もこれまでの2回と同じと考えている」
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Bitcoin Cash Approaches Milestone With First Halving Expected Wednesday