運用総額1,300億円超のベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが4月7日、オープンバンキングシステム開発の英国企業に出資したと発表した。出資額は非公表。出資先はRailsbankで、同社はクラウド・APIベースのオープンバンキングプラットフォームを展開。企業が同社のAPIと連携すると、 利用者は銀行アプリや銀行を介さず送金や入金、出金などができる。フィンテック企業が、従来は銀行が担ってきた業務をより便利に提供する流れが強まっている。
2015年設立のBaaSスタートアップ、アジア進出急ぐ
Railsbankは2015年設立、ロンドンを拠点とするBaaS(Banking as a Service)のスタートアップ。2019年9月には約11億円(1,000万ドル)を調達したと発表しており、そテスラ、中国で輸入プロセスのスピードアップに挑むの追加での調達となる。欧州を地盤としていた同社だが、昨年、Visa とのパートナーシップを発表。アジアへの進出を急いでいる。
出資したグローバル・ブレインは発表文で「あらゆる会社が銀行サービスを展開していく」との見方を示した。Railsbankのプラットフォームを活用することで、顧客が「金融商品を利用したユースケースを展開できるように支援する」という。
広がりを見せるBaaSとは
同社が取り組むBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)の分野は、注目度を急速に高めている。最近も、日本のインフキュリオン・グループが新生銀行グループの「BANKIT」にプラットフォームを提供するリリースを発表している。
BaaSは、既存の銀行サービスを金融ライセンスやソフトウェアを用いて再構築し、企業に対して必要な銀行の機能を提供するサービスのこと。これにより、銀行以外の企業が金融の機能を提供できるようになる。つまり事業会社が、従来は銀行が提供してきた金融機能をサービス・商品に組み込めるようになるのだ。
注目は銀行API公開。国内では9割が公開の方針
BaaSのさらなる拡大を考える上でポイントと考えられるのがAPIの公開。国内でも法整備が進んでおり、2017年に成立した改正銀行法で、2020年5月の猶予期限までに金融機関と電子決済等代行業者との間で、APIなどでシステムを連携する契約を結ぶよう求められている。
これに応じて、2019年末の段階では、邦銀137行のうちすでに契約を締結しているのは79行で、交渉中を含めると125行に上った。国内の銀行のうち、約9割がオープンAPIに向けて動いている。
文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:Shutterstock