インターネットの「情報革命」は、普及から20年足らずであらゆる産業の構造を変え、世界を一変させた。PCやスマートフォンを始めとする情報インフラは、人々のコミュニケーションを変え、生活はより便利に、効率的になった。
その一方で、プラットフォームの寡占が進み、フェイクニュースやプライバシーの問題など弊害も見え始めている。あまりにセントライゼーション(一極集中)が進んだことで、インターネットのあるべき多様性が失われていないだろうか?
ブロックチェーンの「価値革命」もまた、かつてのインターネットと同じように、社会変革の可能性を秘めたテクノロジーだ。その分散化技術により、まだ見ぬ新たな価値が生まれ、本来あるべき多様性を取り戻すことで、世界に新たなパラダイムシフトが訪れるはずだ。
仮想通貨バブルは、すでに弾けたといわれる。しかし、それはドットコムバブル後の幻滅期を経て進化してきた、インターネットが歩んできた道とオーバーラップするところだ。仮想通貨への過度な期待が失われた今こそ、ブロックチェーンの社会実装に向けた議論を始めるべきだ。
本日創刊する「CoinDesk Japan(コインデスク・ジャパン)」は、ブロックチェーン・仮想通貨領域における世界最大級のメディア「CoinDesk」の公式日本版である。私たちの編集部の行動原則等はエディトリアルポリシーに明記した。ブロックチェーンの経済メディアとして、同領域のリーダーやキーマンをつなぐ役割を果たしていく所存だ。
創刊特集「ブロックチェーン“価値革命”の新時代へ」は、その冠にふさわしい方々にご登場いただく予定だ。リーダー、キーマンたちが語る言葉の節々に、ブロックチェーン“価値革命”の新たな息吹を感じていただけるだろう。
ブロックチェーンが始まるのは、これからだ。
CoinDesk Japan編集長 久保田大海
創刊特集ラインナップ
「ビットコインのバブルを馬鹿にするのは愚か」慶大・坂井教授が語る“暗号通貨と国家”
【家入一真】「若者がつくる未来がみたい」ブロックチェーンの小さな経済圏とは?
【芥川賞】仮想通貨小説「ニムロッド」が問う“ビットコインの存在意義”
【柳澤大輔】地域通貨で「人のつながり」を可視化する。面白法人カヤックが考えるカラフルな地域社会とは?
【野口悠紀雄】「ブロックチェーンは電気と同じ汎用技術だ」企業が生き残る条件とは?
【國光宏尚】「ブロックチェーンの登場は歴史の必然」GAFAを倒す方法はあるか?
「ビットコインのバブルを馬鹿にするのは愚か」慶大・坂井教授が語る“暗号通貨と国家”(2019年3月4日公開)
なぜ通貨を発行するのが国家である必要があるのか。好きな通貨を自由に使えればいいのではないか。そもそも国家の金融政策により私たちの財産価値は下がっているのではないか──『暗号通貨vs.国家』(SB新書)を上梓した慶應義塾大学経済学部教授の坂井豊貴氏に聞いた。
【家入一真】「若者がつくる未来がみたい」ブロックチェーンの小さな経済圏とは?(2019年3月4日公開)
連続起業家の家入一真は、個人がつながり支え合うコミュニティを「小さな経済圏」と呼ぶ。クラウドファンディング「CAMPFIRE」の代表としても、その実現にチャレンジ中だ。なぜブロックチェーンのスタートアップ企業に出資を決めたのか?資本主義のアップデートとは何か?その真意を聞いた。
【芥川賞】仮想通貨小説「ニムロッド」が問う“ビットコインの存在意義”(2019年3月5日公開)
2019年1月、仮想通貨をテーマにした小説『ニムロッド』が第160回芥川賞を受賞した。会社に命じられてビットコインの採掘をはじめた主人公の気づきを通して、仮想通貨やプロックチェーンの本質が“文学的かつ情緒的に”理解できる、前代未聞の作品だ。著者の上田岳弘氏は39歳で、IT会社の現役役員。同作の執筆経緯や仮想通貨観を聞いた。
【柳澤大輔】地域通貨で「人のつながり」を可視化する。面白法人カヤックが考えるカラフルな地域社会とは?(2019年3月6日公開)
鎌倉を本拠地とし、地域を中心とした新しい経済の形を模索する面白法人カヤック。代表取締役CEOであり「鎌倉資本主義」を発信する柳澤大輔氏は、ブロックチェーンを活用した地域通貨に地方創生の可能性を見出している。「鎌倉資本主義」と、その実現のための地域通貨のあり方を聞いた。
【野口悠紀雄】「ブロックチェーンは電気と同じ汎用技術だ」企業が生き残る条件とは?(2019年3月7日公開)
一橋大学名誉教授で早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏は、ブロックチェーン関連の著書が多い経済学者として知られる。野口氏は「ブロックチェーン技術の普及で、GAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)さえ危い」と説く。新時代を生き抜く企業の必須要件とは?
【國光宏尚】「ブロックチェーンの登場は歴史の必然」GAFAを倒す方法はあるか!?(2019年3月8日公開)
2018年、スマートフォンゲームを開発・運営するgumi(グミ)はブロックチェーンと仮想通貨事業への参入を宣言し、同領域に特化した投資ファンドを設立、活発な活動を続けている。「仮想通貨とブロックチェーンの未来」をgumiの國光宏尚CEOに聞いた。
【LINE出澤CEO】トークンエコノミーはスマホ熱狂の終焉に始まるか?「キラーアプリが起爆剤」(2019年3月11日公開)
メッセージやゲームから決済まで、今や日本最大級のプラットフォーマーとなった「LINE」。2018年8月に発表したブロックチェーンを使った「LINE Token Economy」は、同社の今後を占う試金石ともいえる。LINEの出澤剛CEOに聞いた。
【孫泰蔵】「本気で考えよう」ブロックチェーンの“先にあるもの”(2019年3月12日公開)
エストニアに何を学ぶべきか?日本人はブロックチェーンとどう向き合うべきか?最も大事な概念「ヒューマンオートノミー」とは何か?──『ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来』(ダイヤモンド社)を監修した、連続起業家の孫泰蔵氏に聞いた。
編集:久保田大海
写真:多田圭佑、CoinDesk Japan編集部