ビットコインの3度目の半減期まであと2週間を切った。グーグル検索は、ビットコインの3度目の半減期への関心が過去最高レベルとなっていることを示している。
強気要因にはならない
しかし、一部のトレーダーは、半減期は多くの人が期待するような強気の要因にはならないと語る。彼らは半減期は重要ではないと述べ、むしろ、前例のないFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策など、今後数年の間にビットコイン価格を押し上げる可能性のある他のマクロ経済要因に注目している。
多くの人は、半減期の強気論を議論して「時間を浪費している」だけとブロックヘッド・キャピタル(Blockhead Capital)のマネージングパートナー、マシュー・ケイ(Matthew Kaye)氏はCoinDeskに語った。
ビットコイン半減期は4年ごとに発生し、ビットコインマイナーに支払われるブロック報酬は50%削減される。現在のブロック報酬12.5ビットコインは、5月には6.25ビットコインまで下落する。
「半減期による供給ショックは、取引所の通常の取引高に比べると無視できるレベルのもの」とカナダの相対取引(OTC)ビットコイン取引所ブル・ビットコイン(Bull Bitcoin)のフランシス・プリオ(Francis Pouliot)CEOは述べた。
しかし、長期的には「他の資産の信頼喪失」がビットコインを「きわめて強気」にしていると同氏は語った。
FRB(連邦準備制度理事会)の量的緩和の「マーケティング上のインパクト」は、「きわめて予測可能な、したがって退屈な半減期とは比較にならないほど大きい」とプリオ氏は付け加えた。
5月の半減期に関する関心度は、2016年のビットコインの2度目の半減期の前の「bitcoin halving(ビットコイン半減期)」の関心度をすでに大きく上回っている。グーグルのデータによると、今後数週間で急激に増加すると予想されている。
オプション市場の見通しも弱気
ビットコインオプション市場は、半減期を強気イベントと見なすことに同様のためらいを示している。データ分析企業Skewによると、未決済建玉のプット・コールレシオは4月、着実に上昇しており、これは半減期が近づくにつれて市場は、ビットコインの下落リスクに対するリスクヘッジをより重視していることを示している。
「通常、半減期の後には想定外の引き戻しがある」とゾラックス・キャピタル(Zorax Capital)のマネージング・パートナー、ゾラン・スケキッチ(Zoran Scekic)氏は語った。
オプション取引は原資産の価値に基づいたデリバティブ(金融派生商品)で、満期日の当日またはそれ以前に、原資産を売買する権利を与える(ただし義務ではない)。コールオプションは保有者に買う権利を、プットオプションは売る権利を与える。
プット・コールレシオ:プット(売る権利)の売買金額÷コール(買う権利)の売買金額で表される指標。プット・コールレシオの上昇は、下落局面にあると考えられている。
「半減期についてのほとんどのファンダメンタルベースの強気ケースには、見るべきものがない。だが半減期は良いマーケティング・イベント」とデータ企業メッサーリ(Messari)のリサーチアナリスト、ライアン・ワトキンス(Ryan Watkins)氏は語った。
「マクロの不確実性が覆いかぶさっている間、少なくとも短期的に半減期前後では、ビットコインを他の資産クラスから切り離すことができるとは思えない」
一部の投資家によると、最近の他の暗号資産(仮想通貨)の半減期は、ビットコインの3度目の半減期への期待を見極めることに役立つ。ライトコイン(Litecoin)とビットコインキャッシュ(BCH)は、それぞれ2019年8月と2020年4月にすでに半減期を経験している。
「半減期でビットコインキャッシュが上昇しなかったにもかかわらず、ビットコインは上昇すると主張することは、ビットコイン市場は効率性が低いと言っていることに等しい。私はそうは思えない」と大手相対取引流動性プロバイダーB2C2の創業者マックス・ブーネン(Max Boonen)氏は述べた。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Bitcoin’s Halving Is Irrelevant for Some Large Traders