英セトル、支払い不能に。大物金融マン招き入れたブロックチェーンベンチャー、資産売却を検討

ロンドンに拠点を置き、ブロックチェーンを基盤に事業を進めるフィンテックベンチャーのセトル(SETL)が支払い不能に陥り、一部の資産の売却を検討している。

セトルは2019年3月7日、イギリス当局に同社が支払不能(Insolvency)状態にあると報告。セトルは昨年10月にフランスの証券監督当局から、ブロックチェーンを活用した中央証券預託システム(CSD)を運営するための許可(ライセンス)を受けたばかりだった。

セトルは発表文で、「ID2S開発計画(CSDの規制に準じたベンチマークテスト)への早期投資を行なったため、(創業から)アーリーステージにあるセトルには、必要な資本を充当するための十分な基盤が備わっていない。従って、セトルは現在、ID2Sの所有権を大手金融機関に委ねることを検討している」と述べている。

セトル会長の デビッド・ウォーカー(Sir David Walker)氏は発表文の中で、「投資ポートフォリオからソフトウエア開発事業を切り離すのはかなり複雑なプロセスで、専門性や経験、全ての債権者と株主の利益の中立的なマネジメントが求められる。経営陣は真剣に取り組む」と述べた。

セトルは2015年、共同創業者でロンドン金融界のベテラントレーダー、ピーター・ランドール(Peter Randall)氏らによって設立された。会長には、イギリス中央銀行でエグゼクティブ・ディレクターを務めたデビッド・ウォーカー氏が就いた。また、2018年10月には、ゴールドマン・サックスやボストン・コンサルティングなどでキャリアを積み上げたフィリップ・モレル(Philippe Morel)氏をCEOに任命している。

クランチベース(Crunchbase)のデータによると、セトルは過去3度の調達ラウンドを行い、総額3900万ドル(約44億円)の資金を集めてきた。セトルは設立以来、分散型台帳技術(DLT)を活用した高速・高効率の決済システムに重点を置き、事業を進めてきた。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:City of London image via Shutterstock
原文:Blockchain Firm SETL Seeks Buyer After Filing for Insolvency