アメリカに本社を置くスタートアップ、ボルトテル(VaultTel)はこのほど、スマートフォンのSIMカードトレイに収まる、仮想通貨用小型ハードウエアウォレットを発表した。
同社の「インテリチップ(Intellichip)」カードと専用アプリを組み合わせることで、モバイル端末に仮想通貨の秘密鍵を保管することが可能になる。 資産の安全は 、生体認証および「軍事規格の」暗号化を用いることで守られる。
アンドロイドのデュアルSIM対応スマホなら、SIMカードスロットに挿入するだけで使用でき、iPhoneの場合は、ドングルを使用する必要があると同社は述べている。
また、生体認証機能により、端末の所有者以外は資産をウォレットから移動することができないと同社のウェブサイトには記されている。「そのうえ、ラップトップやシステムのリソースを使用しているわけではないので、画面録画スパイウェアやトロイの木馬に、ハードウエアウォレット上で行われている操作を記録されることもない」とも。
同製品は、ウェブサイト上でアンドロイド用とiOS用の2つのパッケージの先行予約を受け付けている。アンドロイド用は75ユーロ(約9500円)で、iOS用は100ユーロ(約1万2500円)。
同製品のインテリチップは、暗号化アルゴリズム、「AES 512(Advanced Encryption Standard 512)」を使用してデータ保管の安全性を保っている。またそれだけでなく、特定の端末以外からのアクセスを制限する機能や特定地域でのアクセスのみを可能とする「ジオロック(geolock)」機能もオプション機能として備わっている。
同社によると、 製品は「ニーモニック・シード(mnemonic seeds)」を可能とするビットコイン改善案「BIP39(Bitcoin Improvement Proposals39)」やHDウォレット(階層的決定性ウォレット)を可能とする「BIP44」などの最新のビットコイン規格を採用している。ユーザーはウォレットのバックアップを他のボルトテルカードに取ることも可能。
アメリカの市場にリリースされた同製品は、 イギリスの子会社を通じて、ヨーロッパ諸国でも「直ちに」発売開始される予定。
仮想通貨を安全に保管するための方法として、スマホを活用する例は急速に増えつつあり、ここ数カ月間、さまざまな製品ローンチが立て続けに見られている。
サムスンのフラッグシップ端末、「ギャラクシーS10(Galaxy S10)」は、端末内のウォレットをハッキングから守るために、隔離されたハードウエアを搭載している。また、シリンラボ(Sirin Labs)のブロックチェーンフォン「フィニー(Finney)」もハードウエアウォレットを内蔵している。
しかし、デバイスのSIMスロットに収まる形状を採用した企業はいまだかつてなかった。
余談だが、極端に小さい形状のをウォレットを求めているならば、秘密鍵を保管するチップを皮膚の下に埋め込むことも可能。
翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:SIM slots image via Shutterstock; product image via VaultTel
原文:New Crypto Hardware Wallet Fits Your Phone’s SIM Card Slot