あるビットコイン開発者の計算によると、ビットコイン・プログラムを実行しているコンピューター(ノード)の数は、この3年近くで最も少なくなっている。
2018年1月から一貫して減少
ビットコイン開発者ルーク・ダッシュジュニア(Luke Dashujr)氏の推計によると、ビットコイン・ノード数は5月4日、4万7000を下回り、2017年以来の低水準となった。同氏のデータは、ノード数が2018年1月に20万を超えていたピーク時から一貫して減少を続けていることを示している。
ノード数の減少は、新しいトランザクションを検証し、履歴のコピーを保管することに参加する人がほとんどいないことを意味する。一方で、ビットコイン価格とマイニング能力は最近、上昇している。
ビットコイン・ノード数は通常、具体的なデータではなく、推計に基づいており、推計のための最善な方法についての意見は分かれている。
ダッシュジュニア氏の推計は、非公表の独自な方法に基づいているが、同氏によると、方法を公表するとデータの信頼性が損なわれる可能性がある。
ビットノーズ(Bitnodes)が無料で提供している、もう1つのよく知られた推計によると、ビットコインIPv4ノード数は3月中旬に数年ぶりの低水準となった。これはダッシュジュニア氏のデータを裏付けている。
しかし11月以降、ビットノーズのデータは「.onion」ドメイン(正式なドメインではない、いわゆる闇ドメイン)を使ったノードの急増を示しており、ノード数の推計をより困難にしている。
なぜノードは減っているのか?
ダッシュジュニア氏の推計によると、興味深いことに最近のビットコインの強気サイクルの前には、新しいビットコイン・ノードが増加していた。
しかし2019年4月以降、ノード数の推計は比較的強気の値動きにもかかわらず一貫して減少を続けている。期待に欠ける値動き、あるいは最近の市場の急落によって一部の投資家やノード・オペレーターは単に興味を失って、ノードを閉じたのかもしれない。
価格急落の後、多くのビットコイン・ユーザーは「興味を失い、ウォレットを開設したり、ノードを運用することを止める」とビットコイン保管セキュリティー企業カサ(Casa)の共同創業者兼CTOジェームソン・ロップ(Jameson Lopp)氏は述べた。
ロップ氏は、市場の動きにかかわらず運用を続けるビットコイン・ノードを「ノードの最終手段」と考えている。
多くの人々もまた、ソフトウエアの実行が単に難しすぎるという理由でビットコイン・ノードを閉じているのかもしれない。ダッシュジュニア氏によると、「(ビットコイン)ノードの運用は、ブロックサイズが技術的進歩のペースを上回っており、ますます難しくなっている」。
十分なノード数とは?
フル・ビットコイン・ノードは新しいビットコインのマイニングを行わない。そうではなく、分散型台帳の正確性を守るためにブロックチェーンのコピーを保管し、ネットワーク上で行われたトランザクションをユーザーが検証できるようにしている。
「十分な」数のノードが運用されていれば、ノード数の減少は問題ではないかもしれないとスクエア(Square)のビットコイン開発者マット・コラロ(Matt Corallo)氏は述べた。
「究極的には、単なるデータは重要ではない」、しかし「十分」を定義することは「きわめて難しい」とコラロ氏は指摘した。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
画像:Coindesk
原文:Bitcoin Node Count Falls to 3-Year Low Despite Price Surge