バイナンスの「CZ」ことジャオ・チャンポン(Zhao Changpeng)CEOは、本社の場所を本当に教えたくないようだ。
バイナンスの本社はどこにある?
5月7日、コンセンシス(ConsenSys)のEthereal Summitを開始するにあたって、Unchained Podcastのローラ・シン(Laura Shin)氏はジャオ氏とのチャットをスタートさせた。ジャオ氏はバイナンスのロゴが入ったサッカーユニフォームを着ていた。
予定の45分間、ジャオ氏はそのほとんどの時間を、リブラ(Libra)と中国のデジタル人民元は既存のステーブルコインの競合になる可能性は低いこと、バイナンスのスマートチェーンはイーサリアムと強豪しないこと──ただし「競合の定義による」と同氏は述べた──、そしてバイナンスが買収したCoinMarketCapの独立性を保つメリットがあることの説明に費やした。
残り5分。ジャオ氏の表情は自信に満ちていた。進行中の裁判に関する意地悪な質問を打ちのめし、ゴールはもう間近だった。
だがその時、シン氏はジャオ氏が答えたくない、だが多くの人が知りたいと思っていることを質問した──バイナンスの本社はどこにあるのか?
管轄下にないとマルタは発表
この単純に思える質問は実は複雑だ。2月までバイナンスはマルタに本社があると考えられてた。しかし、マルタがバイナンスはその管轄下にないと発表したことで、状況は変わった。以来、バイナンスは本社の場所を明らかにしていない。
質問された時、ジャオ氏の顔が紅潮したのは不思議ではない。同氏は言葉に詰まった。カメラから視線を外し、おそらくアシスタントの方を見た。
「ビットコインの良さだと思うが、ビットコインはオフィスを持っていない。だからオフィスを持つ必要はない」と同氏は述べた。
バイナンスにはたくさんのオフィスがあり、50カ国にスタッフがいるとジャオ氏は続けた。登録された銀行口座や住所を必要としない新しいタイプの組織だ。
「私が座っている場所がバイナンスのオフィスになる。私が誰かを必要とする場所がオフィスになる」
アジアのどこかにいる
ジャオ氏は司会のシン氏がより簡単な質問に移ることを望んでいたかもしれない。しかし、シン氏は続けた。
「しかし、従業員の税金を処理するためには、登録された事業体が必要だと思う。曖昧にする必要はないし、オープンにしていいと思う。本社の場所をなぜ明らかにしないのですか?」
ジャオ氏は再びカメラの後ろの人に目をやったようだ。残り時間は2分を切っていた。
「認めたくないわけではないし、曖昧にしたいわけでも、隠したいわけでもない。我々は隠していない、オープンにしている」
シン氏が口を挟んだ。
「すでにある種のDAO(分散型自律組織)になっているということですか? よく理解できない。昔のやり方ではなく、新しいやり方ということですか」
ジャオ氏はバイナンスは従来型の企業ではなく、「共通の目標に向けてともに働く」人々の大規模なチームと述べた。
「正直に言うと、仮に我々をDAOとして分類した場合、なぜ我々はDAOではないかについて多くの議論が起こるだろう。だからその議論には触れたくない」と同氏は付け加えた。
「誰もあなた方をDAOと呼ばないでしょう」とシン氏は述べた。インタビューでジャオ氏が本社について明らかにしなかったことに失望したようだった。
終了時間になった。簡単な質問で締めくくるために、シン氏は新型コロナウイルス感染拡大の間、どこで仕事をしていたのかとジャオ氏に聞いた。
「アジアにいる」とジャオ氏は語った。ジャオ氏の背景の真っ白な壁は、アジアのどこにいるのかについて、何のヒントも与えてくれなかった。シン氏はどこの国か教えてほしいと尋ねた。
「それは言わない方がいいと思う。プライバシーにかかわることだから」とジャオは遮り、インタビューを終えた。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Binance
原文:Binance Doesn’t Have a Headquarters Because Bitcoin Doesn’t, Says CEO