イーサリアムの生みの親ヴィタリック・ブテリン氏は、5月11日に開催した米CoinDeskのバーチャルカンファレンス「Consensus: Distributed」に登壇し、イーサリアム2.0について語った。
イーサリアム2.0は、コンセンサスメカニズムをプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に変更するもので、大幅に遅れているが7月のローンチを目指していると同氏は述べた。
テストネットはすでに稼働
現地時間5月11日、米CoinDeskのバーチャルカンファレンス「Consensus: Distributed 」が開幕。イーサリアム共同創業者ヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、イーサリアム2.0のテストネットはすでに稼働しており、実装の第1フェーズは1週間ほど前に始まったと米CoinDeskのマイケル・ケイシー(Michael Casey)とザック・スワード(Zack Seward)に語った。
イーサリアムコミュニティは2015年のネットワークのスタートとほぼ同時にプルーフ・オブ・ワーク(PoW)をプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に置き換える議論を始めた。PoWはマイナーが行う「作業」に基づいており、ビットコインのプロトコルとしても採用されている。
ときに「セレニティ(Serenity)」と呼ばれるイーサリアム 2.0は遅延を続けている。当初は2020年1月の予定だったが、第2四半期にずれこみ、さらに第3四半期となった。今年初めから7月が開発者にとって目標の期日となっていた。多くはイーサリアムの5周年となる7月30日を見据えているようだ。
80から90%の確率
ブテリン氏はまた、多くのイーサリアム開発チームが、PoSのローンチ成功後にすぐに実装できるようスケーリングにも熱心に取り組んでいると述べた。
スケーリングには、コンセンサスプロセスを効率的に小さなグループに分割して検証時間を短縮するシャーディングのようなよく知られた手法や、現在テスト中の複数の新しいスケーリング手法が含まれている。
ブテリン氏によると、その1つはイーサリアムの現行バージョンでも「 理論的には1秒あたり1000トランザクション以上にスケール」可能なレイヤー2ソリューションの「オプティミスティック・ロールアップ(optimistic rollups)」だ。
5月11日、Consensus: Distributedにおいてイーサリアムの共同創業者で元CTO、現在はパリティ・テクノロジーズ(Parity Technologies)の創業者であるギャビン・ウッド(Gavin Wood)氏はイーサリアムはガバナンス構造が貧弱と批判した。同氏はイーサリアムがステークホルダー・コミュニティの利益のために機能することはほぼ不可能と述べた。
イーサリアムコミュニティの他の人々もイーサリアム2.0は予想通り7月頃には稼働する可能性は高いとコメントしている。
先週開催されたEthereal Summitにおいて、イーサリアム2.0クライアントを運営するTekuのベン・エジントン(Ben Edgington) 氏は「第3四半期までに稼働すると80〜90%の確率で確信している」とコメントした。
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Vitalik Buterin on stage at RadicalXchange 2019. (Credit: Christine Kim for CoinDesk)
原文:Vitalik Buterin Says Much-Delayed Ethereum 2.0 Still on Track for July Launch