人工知能(AI)とブロックチェーンを使い、野菜や果物のオンライン市場を展開するスタートアップのAgri10x。小規模農家と世界中のバイヤーをつなぐことをミッションに掲げて、事業の拡大を図っている。
マレーシア、インド、カナダ、イギリスなどに拠点を置くAgri10xは5月12日、インド政府との提携を発表。同国の遠隔地で農業を営む従事者が、より公正な価格で農産物を販売できるための支援を行っていく。現地メディアのBusiness Standardが伝えた。
「農家はインド経済の陰のヒーローである。我々は、農家が仲買業者を介さずに、グローバル市場に直接アクセスできるようにしたい」とAgri10xのパンカジ・ゴード(Pankajj Ghode)CEOは述べる。
今回の提携により、Agri10xのサービスはインド政府の全国共通サービスセンター(CSC)で利用できるようになる。遠隔地の農業コミュニティは、「村レベルの起業家(village-level entrepreneurs:VLE)」と呼ばれる従事者を通じて、Agri10xのブロックチェーン・プラットフォームに登録することができる。
これまで、農家は仲買業者を通じて農産物を販売し、仲買業者は特定の市場で買い手を見つけてきた。Agri10xは、自社のビジネスモデルが小規模農家と多くのバイヤーを結び、仲買業者に利益を絞り取られることを排除するよう努めてきた。
また、スマートコントラクトを使えば、農家はタイムリーに支払いを受け取ることができるようになる。ブロックチェーンは、収穫を効果的に管理するためのリアルタイムデータ収集にも役立つと、同社はブログで述べている。
Agri10xのサンディープ・ボーズ(Sundeep Bose)CTOは、このプラットフォームは農家が自分たちの農産物の公正な市場価格を理解し、地元と世界の双方のバイヤーから正当な価値を直接得ることに役立つと主張する。
コーヒー栽培のような小規模農業をブロックチェーンを使って支援するという考え方は、以前から存在してきた。大手企業は、農業をより持続可能な業界に変化させようと、生産者を支援するツールを開発している。また、在庫と地域の状況を監視するために、ブロックチェーンを農業で活用する考えは、アメリカの議員からも聞かれるようになった。
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真: Shutterstock/Rawpixel
原文:Blockchain Firm Partners With Indian Government to Boost Earnings for Farmers