異なるブロックチェーン同士の連携を安全、確実に実現させることを目的に、富士通研究所が米国富士通研究所、アクセンチュアの英国法人と共同でHyperledger Projectに提案していた新プロジェクトが、「Hyperledger Cactus(カクタス)」として正式に承認された。
富士通の子会社である富士通研究所が開発し、2017年11月に発表した、実装方式や運営目的が異なるブロックチェーンを相互接続するセキュリティ技術「コネクションチェーン」を活用。複数の異なるブロックチェーンが連携する統合型サービスを開発しやすくするためのOSS基盤のソフト開発を推進する。
富士通研開発の「コネクションチェーン」を活用
新プロジェクト「Hyperledger Cactus」を承認したHyperledger Project(ハイパーレッジャープロジェクト)は、リナックス財団が運営するOSS(オープンソースソフトウェア)のコミュニティ。
5月15日発表されたこのプロジェクトでは、富士通研の「コネクションチェーン」と、アクセンチュアのブロックチェーン間統合技術である「Blockchain Integration Framework(ブロックチェーン インテグレーション フレームワーク)」を活用し、ブロックチェーンの相互接続を実現する基盤開発を共同で進める。
新しいアーキテクチャーの基盤を開発、具体的には、異なるブロックチェーン間での取引が確定するタイミングなどの差分を吸収し、必要な資産移転を行ったり、移転が失敗した場合のリカバリー処理を実行したりといったことができるようにする構想だ。
具体的な使用例「カーシェアリングサービス」
リリースでは実用例として、カーシェアリングサービスを挙げている(図参照)。「Hyperledger Cactus」の基盤を活用すると、車の利用権を管理するブロックチェーンと、プライベートコインを管理するブロックチェーンを連携して動かし、一時的に車を使いたいユーザーがプライベートコインの譲渡と引き換えに車の一時的な利用権を得るようなサービスを生むことができるという。
開発した技術はオープンソースとして公開したい考え。ソフト開発者向けに、複数のブロックチェーンを統合したサービスを提供しやすくするためのSDK(ソフトウェア開発キット)もOSSとして提供する予定。
文:濱田 優
画像:プレスリリースより