フェイスブック(Facebook)が主導するグローバル決済システム「リブラ(Libra)」で、ウォレットの開発を進める「カリブラ(Calibra)」が、社名を変更、新しいロゴも発表した。
フェイスブックの子会社カリブラは5月26日、社名を「ノビ(Novi)」に変更した。Noviはラテン語に由来する混成語(2つの言葉を組み合わせた言葉)で、新しいを意味する「novus」と、道を意味する「via」を組み合わせたものだ。
ノビ(Novi)のロゴは「デジタル通貨の流れるような動き」を表現しているとも言われており、波型の模様にはリブラのアイコンのデザイン要素が取り入れられている。
「社名を変更したが、世界中の人々が手頃な金融サービスにアクセスできるための支援を行うという長期的なコミットメントは変わらない」とノビは声明で述べた。
MessengerやWhatsAppと連携
同社はまた、ウォレットの機能についての概略を説明した。ウォレットは単独のアプリとして動作し、フェイスブックのメッセージアプリの「Messenger」や「WhatsApp」と相互運用性を持つ。
発表によると、ノビの目的は友人や家族に「メッセージを送るように簡単に」送金できること。送金は即座に完了し、「想定外の手数料」は発生しない。ただし、標準的な取引手数料についての詳細は明らかにしなかった。
ノビのすべての顧客は政府発行IDを使って身元確認を行う必要があり、「詐欺防止策」が組み込まれている。当初は限られた国で展開される予定だ。
リリース日はまだ不明だが、「リブラネットワークが利用可能になったときに、ノビの初期バージョンを展開したい」と考えている。
ノビとそのサービスは、新しい組織「ノビ・ファイナンシャル(Novi Financial)によって運営される。ノビはフェイスブックの子会社だが、フェイスブックからは独立して運営されると同社は述べた。
ローンチに向け妥協路線を模索
リブラを巡っては、規制当局や政府が金融犯罪の観点からそのリスクを警告してきた。「通貨主権への脅威」とまで言われた。
2019年、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは、リブラが規制当局の合意を得ないままローンチされるようなことがあれば、リブラ協会を脱退すると述べた。
また2019年6月の設立当初には、複数の大手企業がリブラへの参加を予定していると報じられたが、アメリカの規制当局や議員からの圧力により、2019年10月、VISA、マスターカード、ストライプ(Stripi)が脱退を発表した。しかしその後、シンガポールの政府系ファンド「テマセク(Temasek)」、Checkout.comなどの新たな組織が参加している。
さまざまな批判に直面したリブラ協会は4月、構想の変更を発表した。リブラは、当初の構想では複数の法定通貨と国債などで構成されるバスケットに裏付けられたデジタル通貨としていたが、同協会は各国の法定通貨をベースにしたそれぞれのステーブルコインを異なる市場で発行する計画を明らかにした。
リブラ協会は依然として、複数の通貨に裏付けられた通貨の発行計画も維持しているが、法定通貨に裏付けられたものではなく、新たに発行する単一通貨連動のステーブルコインに裏付けられるものになる。
規制当局からの圧力を軽減する狙いがあるのか、リブラ協会は元アメリカ政府職員の採用に力を入れている。過去数週間でFinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)の2人の元職員を採用した。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Novi/Libra
原文:Facebook’s Calibra Rebrands to Novi, Details Wallet Tie-Up With WhatsApp