米国特許商標庁は5月26日、アマゾンがおよそ約3年前に出願した「分散型台帳認証」の特許申請を承認した。
申請には、分散型台帳技術(DLT)、いわゆるブロックチェーンを使って「デジタル信用を商品のサプライチェーンの起点」から最後の1マイルまでを網羅すると記載されている。つまり、消費者が購入した商品の信頼性を証明するシステムだ。
このシステムは、配送業者、製造業者、送り主からのデータを「オープンフレームワーク」に集約し、情報サイロ(ここでは、各社の情報システム)を超えて商品の由来を明確にする。特許の図面によると、データは消費者向けにわかりやすく加工されて表示されるようだ。
世界のサプライチェーンの問題に挑む
通常、特許申請は技術的な内容が占めているが、この申請には珍しく哲学的な記載があり、アマゾンは「透明性、一貫性、参照の完全性あるいは安全性が欠けていることが多いシステムやデータベースが増えている」と批評している。
アマゾンによると、こうした「穴だらけの」技術では、グローバルサプライチェーンを網羅することはできない。
アマゾンにとって、グローバルサプライチェーンの重要性はますます大きくなっている。同社は2019年、自前の配送網で35億個の荷物を配送した。これは全体の46%に相当する。
既存の技術的な欠陥に対して、分散型システムは有効なソリューションを提供できると同社は述べた。すなわち、分散型台帳技術(DLT)はデータ改ざんを防ぎ、単一障害点(停止するとシステム全体が停止する箇所)を取り除き、中央集権型組織の管理上の問題を回避することができる。
アマゾンは申請書類において、使用される分散型台帳技術(DLT)の一例としてハイパーレジャー(Hyperledger)をあげた。
ただし、特許申請は同社がその技術を使用していることを必ずしも示すものではない。
偽造品対策
アマゾンは2010年、偽造品を検知し、売買を防止する「プロジェクト・ゼロ」と呼ばれる取り組みを開始した。ウォール・ストリート・ジャーナルは2018年、関係者の話として、アマゾンが偽造品対策に数十億ドルを費やすと報じている。
分散型台帳技術(DLT)がこうした取り組みに寄与したのかどうかは、現時点ではわからない。
一部のアメリカ議員は、アマゾンの偽造品問題に対して依然懸念を示しているが、購入者の信頼度は高まっているという。
モーニング・コンサルタント(Morning Consult)の調査では、回答者の39%近くがアマゾンを「とても」信頼していると答えた。この数値を上回ったのは、アマゾンの荷物の約3割を配送する米国郵政公社だけだった。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Shutterstock
原文:Amazon Patents Blockchain-Based Product Authenticator