「Facebook Coinは広告収入に依存する事業モデルの救世主になりうる」バークレイズ分析

Facebookが発表したステーブルコインのプロジェクトは、同社にとって重要な収益源になる可能性があると、バークレイズ銀行アナリストのロス・サンドラー( Ross Sandler) 氏は指摘した。

CNBCの報道後、Coindeskはバークレイズが投資家にあてたメモを入手。サンドラー氏はメモの中で、Facebookの発行するステーブルコインが2021年までに30億ドル(約3300億円)から190億ドル(約2兆1000億円)の収益をもたらす可能性があると言及している。Facebookの2017年12月気の売上高は406億ドル、そのうち399億ドルを広告収入に依存している。

しかし、これらの予測は「Facebook Coinが、同社が以前取り組んでいたデジタルコンテンツ配信のための少額戦略を、改めて軌道に乗せられるか」にかかっていると、サンドラー氏は付け加えた。

サンドラー氏によると、Facebookがコイン発行のプロジェクトを実現するには、2つのハードルを乗り越えなければならない。1つは「既に存在している他の決済サービスを上回る価値提案をユーザーに示す」ことであり、もう1つは「2018年にFacebookが情報流出によって失った信頼」を回復することである。

マーク・ザッカーバーグCEOは2019年3月7日、 Facebookを今後よりプライバシー志向にしていく声明を投稿した。投稿の中に「暗号通貨」に関する直接の言及はなかったものの、決済と暗号化に関するコメントが頻繁に登場した。

過去のプロジェクトの復活?

サンドラー氏は、Facebookのこのプロジェクトはまだ多くのことがなお不明瞭であることも述べた。しかし、同社には以前にも仮想通貨を用いた取り組みが存在していた。Facebook Creditsだ。

「Facebook Coinは、少額決済の取り組みの一環であり、2010年から2012年にかけて事業化が進められた Facebook Creditsの復活を目的としているのかもしれません」とサンドラー氏は述べ、「とはいえ、プロジェクトの範囲はもっと大きくなる可能性があります。特にペイパルのCEOを務めたデイビッド・マーカス
(David Marcus )氏がプロジェクトを率いていることもその理由として挙げられます。」とも付け加えた。

実際、Facebookはここ数カ月の間に仮想通貨の分野でスタッフを多数採用しており、また1社の仮想通貨スタートアップを買収し、人材を獲得した。

現在Facebookの求人サイトでは、仮想通貨技術に関連した20の求人を掲載しており、引き続き強い人材獲得意欲をうかがわせている。

翻訳:社本拓也
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真: Facebook image via Shutterstock
原文:‘Facebook Coin’ Could Generate Billions in Revenue: Barclays Analyst