日立製作所やKDDI、電通、積水ハウスなどの国内18社が参画し、業界の垣根を越えた企業間のデータ連携を推進するコンソーシアム「NEXCHAIN(ネクスチェーン)」は、早ければ10月にもブロックチェーンを活用した基盤の商用化を開始する。
NEXCHAIN(企業間情報連携推進コンソーシアム)は今後1、2年で会員企業を500社に増やし、不動産や金融、電力・ガス、運輸、通信業界などにおける同データ連携基盤の活用を促していく。データ基盤の開発は、ブロックチェーンの研究を進めてきた日立が担っていく。同コンソーシアムが8日、明らかにした。
政府は、IoT(モノのインターネット)で人とモノがつながり、人工知能(AI)で必要な情報を必要な時に提供でき、ロボットと自動運転技術などが少子高齢化や地方の過疎の課題を克服できる、新たな社会づくりを進めている。
狩猟(1.0)、農耕(2.0)、工業(3.0)、情報(4.0)に次ぐ、いわゆる「Society 5.0」と呼ばれるもので、ネット(サイバー空間)とリアル(現実空間)を高度に融合させて、経済の発展と社会的課題の解決を両立させる社会。
日本のSociety 5.0を進める
NEXCHAINは日本におけるSociety 5.0の実現に向け、多くの企業が議論できる場を作り、データを連携させることで人と企業にとって有益な新たなエコシステムの構築を進めていく。
改ざんが不可能と言われるブロックチェーンをデータ基盤に活用し、本人情報を複数の企業間で共有できれば、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)はさらに進んでいく。
例えば、引っ越しをして新たな生活を始めるには、多くの紙ベースの手続きが必要だ。部屋探しのために賃貸マンションの内覧をする際に、不動産屋で個人情報を記入する。部屋の賃貸契約を結ぶ時にも再度、個人情報を記入し、電気とガスの手続きや、火災保険などへの加入でも本人データは必要だ。
NEXCHAINが検討を進めようとしているテーマの1つが、ワンストップで引っ越しの手続きができる仕組み。不動産や電力・ガス、保険、携帯電話の通信業などの多くの企業の連携が必要だが、実現すれば人の生活において煩雑な手続きは軽減される。
同コンソーシアムに参画する18の企業は以下の通り。
- エスクロー・エージェント・ジャパン
- エネルギア・コミュニケーションズ
- 大阪ガス
- 関西電力
- KDDI
- 構造計画研究所
- サカイ引越センター
- 積水ハウス
- 綜合警備保障(ALSOK)
- 損害保険ジャパン
- ディアブル
- 電通
- 東京海上日動火災保険
- 東京ガス
- 東邦ガス
- 日立グローバルライフソリューションズ
- 日立製作所
- 三井住友海上火災保険
文・編集:佐藤茂
写真:Shutterstock