デジタル証券の発行・管理プラットフォームを運営する米セキュリタイズは6月5日、デジタル証券(セキュリティトークン)の保有者への配当支払いをブロックチェーン上で行うことに成功したと発表した。
発表によると、同デジタル証券はオンライン宝くじのLottery.comが発行したもので、同証券の保有者に対して配当金がブロックチェーン上で分配された。セキュリタイズによると、認可を受けた証券代行業者がブロックチェーンを使って配当を支払うのは初めてだという。
セキュリタイズは、野村ホールディングスや三菱UFJイノベーション・パートナーズ、SBIホールディングス傘下のベンチャーキャピタルなどの日本企業が出資しており、日本においても独自のデジタル証券の発行・管理基盤サービスを展開している。
配当支払いをスピーディ、効率的に
証券代行業者は、証券の所有記録を維持・更新することに加えて、証券の保有者に対する配当や利子(Lottery.comの場合は収益の一部)の支払いを請け負うこともある。
セキュリタイズのシステムはトークンの所有権記録をリアルタイムで更新、支払手段と統合されているため、「瞬時に支払いを行うことができる」と、セキュリタイズのカルロス・ドミンゴ(Carlos Domingo)CEOはCoinDeskの取材で述べている。「従来の方法よりもはるかに効率的なプロセスを実現している」
ドミンゴ氏は、株式市場の配当支払い手法は非効率的で、コンピュータシェア社(株式譲渡サービスを行うオーストラリアの企業=Computershare)のような証券代行業者は、本来、株主に渡されるべき配当金から利益をあげていると指摘する。
Lottery.comの配当支払いでは、セキュリティトークン保有者の半数以上がステーブルコインであるUSDCでの支払いを選択。これにより、「ACH(自動清算センター)、電信送金、銀行振込を使うよりも、プロセスがはるかに効率的になり、合理化できた」(ドミンゴCEO)
ドミンゴCEOによると、セキュリタイズは現在、不動産領域において今回と同様の取り組みを計画しているという。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:セキュリタイズのドミンゴCEO(CoinDesk Japan撮影)
原文:Securitize Debuts On-Chain Royalty Payouts for Lottery.com Security Token