暗号資産(仮想通貨)領域のスタートアップ、キュリオインベスト(CurioInvest)が、欧州の個人投資家を対象に希少なスーパーカーのトークンの販売を開始した。
トークン化されたのは、フェラーリ F12ベルリネッタの限定モデルの「F12 tdf」。2016年に約45万ドル(約4800万円)の値が付いたが、8カ月後にロサンゼルスで行われたオークションでは150万ドル(約1億6000万円)を超える金額で落札された。
キュリオインベスト共同創業者のレイ・フェルナンド・ヴェルブーネン(Rey Fernando Verboonen)氏は、驚くのはまだ早いと言う。
「希少なコレクションはもはやS&P500を上回る。クラシックカーとハイパーカー(スーパーカーよりもさらに高額・高性能な車)は最高のパフォーマンスを見せている」と話す。
フェラーリ・インデックスとS&P500
フェラーリ・インデックス(1950年代と1970年代の最もコレクション価値の高い13台のフェラーリの平均価格)は2010年のスタート以来、233%上昇した。S&P500種株価指数の同期間における上昇幅は173%。
株式市場に比べればきわめて市場の規模は小さいが、スーパーカーは投資の選択肢になるとヴェルブーネン氏は言う。
1ドル単位で購入できるトークンはまだ44万枚が入手可能。トークンはイーサリアムのERC-20規格に基づいて構築されており、ヴェルブーネン氏によると実質的にはどの取引所でも取引が可能だという。キュリオインベストはトークンの流通を促すため、暗号資産取引所のフォビ(Huobi)と提携している。
リヒテンシュタインに拠点を置く同社は、これまでにもスーパーカー・トークンの販売を行ってきたが、ヨーロッパの個人投資家を対象にするのは今回が初めて。アメリカ在住の投資家は参加できない。
同氏によると、機関投資家を対象とした募集(調達額上限である110万ドルの6割)はすでに完了した。
欧州の個人投資家が手にするトークン
CoinDeskが入手した目論見書によると、トークンは債券として設定されている。各トークンは車の最終的な販売価格にかかわらず、その割り当て比率を表す。
キュリオインベストは、最初の5年間は現在の評価額の102万3000ドルを最低でも20%上回る価格での売却を想定している。予定期間を過ぎた場合、車はオークションにかけられる。
売却後、コストを除いた収益がトークン保有者に分配される。5年間のコストは2万5000〜5万スイスフラン(2万6000〜5万2700ドル)になると、ヴェルブーネン氏は見積もる。同社は利益の20%を手数料として受け取る。
フェラーリはドイツ・シュトゥットガルト郊外にあるガレージで安全に保管されるという。
「保管環境はきわめて特殊なもの。埃はほとんどなく、空調設備があり、(車は)手袋をして取り扱う」とヴェルブーネン氏。
トークンの販売は6月15日に始まり、7月15日もしくは110万ドルの上限に達するまで続く。
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:フェラーリF12 tdf(CurioInvest)
原文:When Ferrari? Tokenized Supercar Gives European Investors Exposure to Asset Class