タイの中央銀行であるタイ銀行は6月18日、中央銀デジタル通貨(CBDC)を使った決済システムのプロトタイプを開発すると発表した。
開発を進める決済システムは事業会社を対象で、タイ最大のセメント製造企業サイアム・セメント・グループ(Siam Cement Group)の資材調達や財務管理システムとの統合が可能になるという。サイアムはタイを代表するコングロマリットで、タイ王室が出資している。
決済システムの開発は同じく王室系の銀行であるサイアム商業銀行のフィンテック子会社、デジタル・ベンチャーズ(Digital Ventures)が担当。サイアム商業銀行は2016年、リップル(Ripple)に投資している。
発表によると、開発プロジェクトには決済システムのフィージビリティスタディ(FS=実行可能性調査)も含まれる。プロジェクトは2020年7月から開始され、年内には終了する予定だ。
「このプロジェクトは、大企業を皮切りに、中央銀行デジタル通貨の適用範囲を広げ、より幅広い普及を実現するうえでの重要な一歩」(タイ銀行のプレスリリース)
また、同プロトタイプは「プロジェクト・インタノン(Project Inthanon)」で得られた知識をもとに構築されると述べた。インタノンは2018年に開始されたタイ銀行とタイの8つの大手金融機関の共同プロジェクト。
中央銀行デジタル通貨をめぐっては、世界各国の中央銀行がその検討・開発を進めている。
カナダ銀行は3年以内のパイロット版開発を目指し、人材の強化を行う一方、中国人民銀行はデジタル人民元アプリの内部テストを実施すると報じられている。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:タイ・バンコク(Shutterstock)
原文:Thai Central Bank Taps Cement Company for First Digital Currency Payments