2017年10月にキャッシュレス推進検討会を立ち上げ、その推進に向けた議論を続けてきた野村総研は7月1日、議論の取りまとめとして「2030 年の決済インフラのあるべき姿 ~『キャッシュレス比率80%』時代のエコシステム~」と題した報告書を発表した。
報告書はキャッシュレスの現状についてまとめているほか、2項目の提言──インフラのインターオペラビリティ確保、加盟店登録・契約の集約──も盛り込んでいる。報告書の要点をブレットポイントにまとめた。なお報告書は全15ページのPDFでダウンロードが可能だ。
- 目指すべきキャッシュレス社会の実現には中小事業所(加盟店)への円滑なサービス導入が必要
- 加盟店は、現状の加盟店手数料率のままではキャッシュレス比率の引き上げは歓迎できない
- 決済事業者にとっても、中小加盟店の増加はむしろ管理コスト増になる
- そこで必要なのが──提言1「決済インフラのインターオペラビリティ確保」と提言2「加盟店の登録や契約の集約」である(詳細は以下)
提言1 「決済インフラのインターオペラビリティ確保」
- 多くの決済事業者が独自のインフラを構築、接続インターフェースがバラバラ
- 新しい技術やサービスが登場しても乗り換えコストがかかる。業界としても技術やプレイヤーの新陳代謝が起きにくい
- システム・業務の標準化が必要で、中でもシステムの接続インターフェースの標準化を優先すべき
- ただし海外の標準との整合性の面から、国際標準規格、新技術への拡張性(ブロックチェーンなど)も踏まえて国内標準のあり方を議論すべき
提言2 「加盟店登録・契約の集約」
- 現状、加盟店は決済事業者各社と個別に契約する必要がある
- 加盟店への入金は決済事業者ごとバラバラ。頻度をあげると振込手数料の問題が生じるし、返金処理方法も異なる
- こうした加盟店の業務負担、コスト負担を軽減するために、1加盟店につき1社またはごく少数のPSP(Payment Service Provider)との契約にまとめるべき
文・編集:濱田 優
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