中国配車サービスDiDi(滴滴出行)、デジタル人民元の試験運用を計画──初のCBDC大規模テスト

中国大手配車サービスの滴滴出行(Didi Chuxing)が、同国の中央銀行デジタル通貨(CDBC)の試験運用を行うため、タスクフォースを結成した。「デジタル人民元」の開発がさらに前進しそうだ。

DiDiは中国人民銀行(PBOC)・デジタル通貨研究所と戦略的パートナーシップを結び、デジタル通貨電子決済(DCEP)、あるいは中央銀行デジタル通貨の普及をサポートしていくと、同社広報担当はCoinDeskの取材で述べた。

「DiDiのタスクフォースは中国人民銀行のDCEP戦略と運用スケジュールのもと、厳格な安全性とセキュリティ、ガバナンス基準に従って、パイロットプロジェクトを進めていく」(DiDi広報担当)

また、このパートナーシップは、中国におけるオンラインとオフラインの経済セクターの相互接続性を強化するためにDiDiが進めている取り組みにおける重要なマイルストーンであると、DiDi広報は話す。「中国では政府が実体経済セクターの発展を革新的な金融サービスでサポートしようとしている」

デジタル人民元、初の大規模展開へ

DiDiは2015年に国内の競合企業と合併して誕生。その後、Uber Chinaの買収を経て、中国No.1の配車サービス企業となった。同社にはソフトバンクやアップル、アリババ、テンセントが出資している。

詳細はまだ明らかになっていないが、パイロットプロジェクトはデジタル人民元の初めての大規模なケースとなるだろう。DiDiはタクシー配車サービスや自家用車配車サービス、自動車関連のソリューション、二輪車、物流、配送などを展開し、中国におけるユーザー数は5億人を超えると言われる。

さらに今年5月、自動運転を手がけるDiDiの子会社は5億ドルの資金調達を完了した。DiDiの企業評価額は600億ドル(約6兆4000億円)を超えたと報じられている。

デジタル人民元の開発を巡っては、4月にウォレットアプリのスクリーンショットが現地ソーシャルメディアに流出。中国4大銀行がデジタル人民元の保有、送受信に使用するウォレットアプリの開発とテストを行っていることが明らかになった。

さらにマクドナルドやスターバックス、サブウェイに加えて政府機関が参加して、中国4都市でテストが行われていると報じられた。蘇州で行われているテストでは、地方政府職員の交通手当がデジタル人民元で支給されると現地メディアが伝えた。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Didi station image(Zhu Difeng/Shutterstock)
原文:China’s Uber, DiDi, to Trial PBoC’s Central Bank Digital Currency