ヤマトがピーター・ティールの米「Palantir」とタッグ──物流のデータ武装を加速

物流業界のデジタル化を進めるヤマトホールディングス(HD)が、企業価値2兆円と言われるデータテクノロジー・サービスの米Palantir(Palantir Technologies Inc.)と連携する。

ヤマトHDは10日、Palantirの技術を活用したデジタルプラットフォームの構築を進めていくと発表。リアルタイムの運用データを統合して、リソースの最適配置やサプライチェーンの合理化を強めていくという。

ヤマトは今年1月、経営構造を変革するためのアクションプランを開示。データをフル活用する「データドリブン経営」にシフトしながら、国内の物流業界全体のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を牽引していくという。同社は今後4年間で1000億円を投下して、デジタルプラットフォームの構築とデジタル化を加速させる。

4月には、ベンチャーキャピタルのグローバルブレインと共同で「KURONEKO Innovation Fund(クロネコイノベーションファンド)」を設立し、AI(人工知能)やロボティクス、フィンテック、ブロックチェーン、IoT(モノのインターネット)などの領域におけるベンチャー企業への投資を行っていく。

2003年創業のPalantirは、データの分析・処理を得意とし、設立当初は政府機関などを対象に事業を展開。その後、あらゆる業界において事業拡大を進めてきた。ピーター・ティール氏は共同創業者の一人。

Palantirは今週、新規株式公開(IPO)を計画していることを明らかにしている。同社の評価額は200億ドル(約2兆1300億円)に達したと報じられ、上場が実現すれば2019年にデビューしたウーバー(Uber Technologies)以来の大型上場銘柄となり、投資家の注目を集めている。

文:佐藤茂
写真:Shutterstock