日本IBMは、武田薬品工業やアステラス製薬、中外製薬を含む20の製薬企業と医療団体と組み、ブロックチェーン技術を活用した「医薬品などのサプライチェーン」や「医療データ交換」のプラットフォームの構築に向け、2019年中に実証実験を行う計画だ。
医療・製薬業界においてブロックチェーンの適用に対する注目度が急速に高まっており、「医療関連データ管理におけるセキュリティー向上や医薬品のサプライチェーン、電子カルテや診断データなどの医療情報の管理」への応用が考えられると、同社は2019年3月27日付の発表文で述べ、次のように強調した。
「ブロックチェーン技術の活用により、信頼性の高いデータに対して素早く安全にアクセスすることができ、個々の患者の利便性の大幅な向上、偽造医薬品の低減、より効果的な研究開発の促進、新たなビジネスモデルの推進を可能とする」
先を走る米国、欧州
今回の取り組みの幹事を務める中外製薬の石井暢也・科学技術情報部長は、「欧米では、医療関連のデータを安全に管理するため、クローズドの環境にあるブロックチェーンの実証実験がすでに始まっている。国内でも、製薬企業を中心とする協議を開始し、その枠組みの下で新たなビジネスモデルが構築されることを期待する」とコメント。
また武田薬品工業・湘南ヘルスイノベーションパークでジェネラルマネジャーを務める藤本利夫氏は「(ブロックチェーンという)この最先端の技術をエコシステムの基盤として早期に構築し、安全・効率的なデータ管理を進めていけることを期待する」と述べ、新たな医療プラットフォームの登場を歓迎した。
参加企業・団体、設立目的、活用内容は以下の通り。
参加企業
アステラス製薬株式会社
協和発酵キリン株式会社
グラクソ・スミスクライン株式会社
塩野義製薬株式会社
第一三共株式会社
大日本住友製薬株式会社
武田薬品工業株式会社 湘南ヘルスイノベーションパーク
田辺三菱製薬株式会社
中外製薬株式会社
ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
他7社
参加団体
一般社団法人ITヘルスケア学会 医療ブロックチェーン研究会
独立行政法人国立病院機構京都医療センター
他1団体
オブザーバ
神奈川県
編集:久保田大海、佐藤茂
写真:Shutterstock