企業の経営指針として近年、注目されているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)について、企業を対象に理解や取り組みについて調査したところ、SDGsに積極的な企業は24.4%に上ることが分かった。産業別では、金融業界が41.5%と最もSDGsに積極的だった。
調査は帝国データバンクが2020年6月で実施、有効回答企業数は1万1,275社だった。24.4%の内訳は、「意味および重要性を理解し、取り組んでいる」(8.0%)「意味もしくは重要性を理解し、取り組みたいと思っている」(16.4%)だった。
SDGsの17のゴール
SDGsは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで、世界193カ国が産官学民などのステークホルダーとともに同意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲載された世界共通の目標。17のゴール(上画像および、次の一覧参照)と169のターゲット(具体的な目標・行動内容)から構成されている。
・貧困をなくそう
・飢餓をゼロに
・すべての人に健康と福祉を
・質の高い教育をみんなに
・ジェンダー平等を実現しよう
・安全な水とトイレを世界中に
・エネルギーをみんなにそしてクリーンに
・働きがいも経済成長も
・産業と技術革新の基礎をつくろう
・人や国の不平等をなくそう
・住み続けられるまちづくりを
・つくる責任つかう責任
・気候変動に具体的な対策を
・海の豊かさを守ろう
・陸の豊かさも守ろう
・平和と公正をすべての人に
・パートナーシップで目標を達成しよう
17目標のうち、現在力を入れて取り組んでいる項目についての質問(複数回答)では、8つ目の「働きがいも経済成長も」が27.1%で最も高かった。次いで「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」(15.9%)、「つくる責任つかう責任」(14.8%)、「気候変動に具体的な対策を」(14.7%)などとなった。
SDGsの達成に貢献することで、どのような企業価値の向上に役立つと思うかという質問については、「企業好感度」を回答に挙げた企業が53.3%に上った(「非常にそう思う」と「ある程度そう思う」の合計)。「社会的評価」も50.4%に上り、帝国データバンクは「SDGsに取り組むことで社外からの見られ方に好影響があるとする意見が強い結果」と分析した。
「資金力のある大企業と同じようにはできない」
規模別では大企業の「34.9%が積極的は反面、中小企業は21.1%、19.0%と低い傾向(グラフ参照)。この点について調査では、SDGsに取り組んでいない中小企業の声を紹介。「SDGsは大変意義のある重要なことだとは理解しているが、会社の売り上げや利益につながるのかがよく分からない」(金属工作機械製造、岡山県)、「環境等を守るためには普通の設備よりも性能の高い機材の導入や材料のコストも高くなる。そうしたことは資金力のある大企業と同じようにはできない」(不動産代理・仲介、埼玉県)といった意見があったという。
調査はまとめの項目で、「今後SDGsに取り組む企業を増やすためには、SDGsと企業活動とのつながりを示すなど、企業が取り組みに前向きになるような働きかけやきっかけの提供が必要」と指摘している。
文・編集:濱田 優
画像:UNDP Webサイトより