野村とSBIがセキュリティトークン事業でタッグ、SBIが合弁会社ブーストリーに出資【デジタル証券】

野村ホールディングスが野村総研と設立した合弁会社で、ブロックチェーンを活用したセキュリティトークン(デジタル証券)の発行プラットフォームを開発している株式会社BOOSTRY(ブーストリー)に、SBIホールディングスが出資することが7月22日、両ホールディングスによって発表された。

発表によると、野村ホールディングスが持つ株式をSBIホールディングスへ一部譲渡すること、ブーストリーの運営・事業で業務提携することで基本合意に達した。同じく株主の野村総研(NRI)の出資比率は変わらず、出資比率は野村HD 56%、NRI 34%、SBI HD 10%となる。

両社ホールディングスはそれぞれの発表で、「BOOSTRYの提供するトークン基盤は共同利用でき、これを広くかつ迅速に普及させることで、業界の健全な発展に貢献できるものと期待」していると述べている。

2019年設立、プラットフォーム「ibet」を開発したブーストリー

ブーストリーは2019年9月、野村ホールディングス66%、NRI 34%の出資で設立された。代表は佐々木俊典氏で、資本金は11億7,500万円(資本準備金を含む)。

事業内容は、ブロックチェーン技術を活用、有価証券などの権利を交換する基盤を開発、提供するというもの。既に2019年11月、金融商品を含むデジタル化された様々な権利の発行と取引ができるプラットフォーム「ibet」を開発、発表。なた2020年5月には、富士通と実証実験を行い、異なるブロックチェーン間におけるデジタルアセット取引に成功したこと、サービス提供に向けたビジネスモデルを検討する方針であることを発表している。

「投資家と企業・発行体との架け橋となる」「資本市場における新たなサービスの一つになる」

SBIホールディングスは、金融商品取引法に基づく自主規制団体である一般社団法人日本STO協会の設立、認定取得で主導的な役割を果たしてきた。同会はセキュリティトークンの二次流通市場の創設をめざして積極的に活動している。

今回の提携について、SBIホールディングスは発表で、「さまざまな成長ステージにある企業・発行体を支援し、伝統的な株式発行や借入等に代わる新しい資金調達手段としてのセキュリティトークンの普及・利用促進を図るべく、最先端のテクノロジーを活用して投資家と企業・発行体との架け橋となる」などとコメント。

同じく野村ホールディングスは、「野村グループは資本市場における新たなサービスの一つになることが期待されているブロックチェーン技術を活用したデジタルアセット関連事業について、今後も多様なパートナーとの連携や多角的なアプローチにより、商品およびサービスの迅速な社会提供」を目指すとしている。

対面証券とネット証券の最大手同士がタッグを組んだことで、今後セキュリティトークン、デジタル証券の発行に向けた動きが加速しそうだ。

文・編集:濱田 優
画像:各社Webサイトより