SBIグループ第1四半期決算、連結売上高「過去最高」/eスポーツ年俸を暗号資産で/地銀連携で「SBI地銀HD」設立

SBIホールディングスの2021年3月期第1四半期決算説明会が7月30日開かれ、同社の北尾吉孝社長は、連結の収益(売上高)が過去最高を更新したことや、注力している暗号資産・セキュリティトークン事業、地域金融機関との連携などについて説明した。

「eスポーツ」事業にも言及、市場規模が今後もさらに膨れ上がるという見込みを示した上で、6月19日に設立した新会社SBI e-Sportsで、eスポーツチームやeスポーツメディアを運営すること、コンサルティングを行うことのほか、選手の年棒を暗号資産XRP(リップル)で支給する考えがあることを明らかにした。

SBIホールディングス決算説明会資料より

コロナ禍で好業績を出せた4つの要因

SBIホールディングスの第1四半期決算では、連結の収益(売上高)は前年同期比20.6%増の1,111億円と、四半期収益では創業以来の過去最高を更新した。

コロナ禍の中でも業績が良かった要因として次の4点──▽低迷していた各種金融市場が回復局面に移行した▽デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展など社会変化があり、オンラインがメインチャネルである同社の事業に追い風になった▽個人と金融法人(特に地域金融機関)で資産運用ニーズが高まった▽バイオ関連事業で選択と集中、コスト削減の徹底をした──を挙げた。

暗号資産事業:暗号資産ファンドの業務は9月にも開始

SBIホールディングス決算説明会資料より

暗号資産関連事業では、SBI VCトレードが事業拡大のためにさまざまな施策を講じていると発表。2020年8月にCFDサービスを開始、20年9月には、暗号資産ファンドの業務を開始することも明らかにした。

また6月26日の経営近況報告会で明らかにしていた「暗号資産ファンド」についても触れた。同社が「国内初の取り組み」というこのファンドは、SBIオルタナティブ・インベストメントが設定・運用する「SBI暗号資産ファンド(匿名組合)」で、SBI証券やSBIマネープラザで販売する構想。個人投資家向けに2020年夏頃から募集する予定だ。

セキュリティトークン事業:セカンダリーマーケットを整備するためPTS設立を検討

同社は日本STO協会の設立にも大きく関わるなど、セキュリティトークン関連事業にも力を注いでいる。この日の決算説明会でも、STO市場を発展させるために、「発行を行うプライマリーマーケットだけでなく、トークン保有者間で売買を行うセカンダリーマーケットなど、関連する生態系の充実が不可欠」とした上で、今後の方針を紹介した。

SBIグループのデジタルアセット生態系に加え、戦略投資先を含む国内外のパートナーとの連携も通じ、グローバルにSTO事業の展開すること、STO市場の拡大を目指したセカンダリーマーケットの整備に向け、トークンに表示されるデジタル有価証券を取扱うPTS(私設取引システム)の設立を検討する方針を示した。

地方金融機関との連携も推進、新会社「SBI地銀ホールディングス」「地方創生パートナーズ」設立

SBIグループは「第4のメガバンク構想」を掲げ、地域金融機関との資本業務提携など各種施策を進めているが、この施策も着実に進展しているという。

資本業務提携先である地域金融機関──島根銀行、福島銀行、筑邦銀行、清水銀行──の株式を新しい持株会社「SBI地銀ホールディングス」に移管することを明らかにした。

また地方創生を推進するため、SBIホールディングスが、新生銀行、コンコルディア・フィナンシャルグループ(横浜銀行と東日本銀行が共同株式移転方式で設立)、山口フィナンシャルグループ、日本政策投資銀行と共同で「地方創生パートナーズ株式会社」を8月中に設立予定する方針も示した。

このほかにも決算説明会では、SBIアセットマネジメントが「SBIポストコロナ ファンド」を設定したこと、CBDCへの世界的な関心の高まりの分析、日本への国際金融センター誘致の構想、バイオ関連事業の現況、レオス・キャピタルワークスの子会社化や暗号資産マーケットメイカーB2C2の株式取得の状況、今後のM&Aの方針などについても報告された。

文・編集:濱田 優
画像:YouTube SBIグループchannelより