8月24日(月)──金融庁、サスメド、Basset
金融庁など主催のブロックチェーンイベントが開幕
金融庁と日本経済新聞社主催のブロックチェーンイベント「BG2C FIN/SUM BB」が8月24日始まり、麻生太郎財務大臣があいさつ。ブロックチェーンを用いた分散型金融など新たな金融システムはデジタル資産の分野に限らず、デジタルアイデンティティや貿易金融などの高度化に役立つと指摘。ブロックチェーンがプライバシーを保護しながら接触確認に利用できることに触れ、伝染病との戦いで解決策になり得るとの考え方を示唆し、「将来的なリスクを防ぎ、抑え込める」などと話した。
国際会議Blockchain Global Governance Conference (BG2C)、FIN/SUM Blockchain & Business (FIN/SUM BB)の同時開催で、8月25日まで行われた。24日午後には「花開くか日本のSTO、金商法改正で本格スタート」「BG2C:新時代のKYCルール―暗号資産とFATFルールの共存に向けて」「ブロックチェーン技術を活用した貿易金融」などが、25日には、「BG2C:イーサリアムコミュニティ」「STOが拓く不動産市場の未来」「デジタル通貨によるオンチェーン決済の可能性」「デジタル決済、STOの未来」「デジタルアセットインフラとCBDC」などが行われた。
住友商事とサスメドが資本業務提携
住友商事は8月24日、医療アプリの開発、開発基盤を提供しているサスメドと資本業務提携に合意したと発表した。サスメドは、日本に約600万人いるとされる不眠症患者の治療のための医療用アプリ開発に取り組んでいるほか、医薬品の過剰摂取防止や医師・看護師の負担軽減の実現に取り組んでいる。また医療データの安全性や信頼性の担保につながる、データ改ざんやなりすましを防止するブロックチェーン技術や、データ分析の効率化やコスト低減が期待されるAI自動解析技術などの特許技術を持っている。
Bassetとニチガスがブロックチェーン不正検知システムを共同開発
ブロックチェーンの分析技術を開発し、企業のコンプライアンス推進に取り組むBassetは8月24日、日本瓦斯が開発するX-Roadとブロックチェーンを組み合わせた日本初の商用サービス「ニチガスサーチ」に対し、不正検知機構の技術提供すると発表した。日本瓦斯は、エストニアで開発されたX-Roadと、暗号資産に用いられるブロックチェーン技術を組み合わせたサービスの商用化に取り組んでいる。昨年から社内で実運用されており、コールセンター業務のワンストップ化を実現したという。
Basset は日本瓦斯株式会社と共同で、このサービスに組み込まれる形で用いられる不正検知システムを開発した。このシステムは、改ざん不可能な状態でブロックチェーンに記録されたアクセス ログをリアルタイムで分析し、顧客情報に関する記録から AI によって不正なアクティビティの兆候を事前にとらえ、情報管理体制の安全をさらに高めると期待されている。
8月25日(火)──コンセンシス、コインチェック
コンセンシスがJPモルガンのブロックチェーンプラットフォーム買収
ブロックチェーンのソフトウェアを開発する米コンセンシス(ConsenSys)が8月25日、米銀最大手のJPモルガン・チェースが開発してきたブロックチェーンプラットフォーム「Quorum」を買収したと発表した。コンセンシスは今後、イーサリアムを基盤とする「Quorum」の包括的なサービス展開を行い、デジタル資産やデータ管理に対応するための施策を強化していく。JPモルガンとコンセンシスが共同で発表した。
コインチェックで暗号資産による調達調達「IEO」
マネックスグループで暗号資産(仮想通貨)取引所を運営するコインチェックが、企業やプロジェクトが取引所を通じてトークンを発行、販売することで資金を調達する支援事業を開始することが8月25日分かった。第一弾として、マンガやアニメ、音楽などのコンテンツ配信を手がける国内のプラットフォームが今年度中に、約10億円の資金調達に挑戦する。
これは「IEO(Initial Exchange Offering)」と呼ばれる資金調達方法で、企業やプロジェクトなどの発行体がユーティリティトークンを暗号資産取引所で発行、上場し、資金を取得する。取引所で口座を開設している投資家は、トークンを売買できる。IEOの発行体はハッシュパレットで、同社はマンガアプリを運営するLink-Uと、ブロックチェーン技術を活用した事業コンサルティングを行うHashPortの合弁会社。ハッシュパレットは2021年3月までに、パレットトークン(PaletteToken=PLT)をコインチェックで発行、上場する計画。調達額は10億円を見込む。実現すれば、国内で初のIEOとなる。
8月26日(水)──バイナンス、LINE
バイナンス、DeFiインデックスを発表
世界最大級の暗号資産取引所であるバイナンス(Binance)は8月26日、バイナンス・フューチャーズ(Binance Futures)に「DeFiインデックス・パーペチュアル・コントラクト(DeFi Index Perpetual Contracts)を上場すると発表した。これはドル連動型ステーブルコインのテザー(USDT)建てで、最大50倍のレバレッジを提供する。
LINE、ブロックチェーン基盤の事業化を開始
LINEグループのLVCとLINE TECH PLUS(シンガポール)は8月26日、開発プラットフォーム「LINE Blockchain Developers」の提供を始めた。ブロックチェーン上のサービスで流通するデジタル資産を管理するためのウォレット「BITMAX Wallet」も提供するという。
8月27日(木)──コインチェック
コインチェックがNFTのマーケットプレイス、年度内にサービス開始
マネックスグループの暗号資産取引所コインチェックは8月27日、ブロックチェーン上に記録されたゲームのキャラクター、美術品、不動産などのノンファンジブルトークン(NFT)を暗号資産と交換できる「NFTマーケットプレイス」の事業化について検討を開始したと発表した。2020年度内のサービス提供開始を目指し、同日からマーケットプレイスへの参加企業の募集を開始した。
8月28日(金)──SBI FXトレード、LayerX
SBI FXトレードが暗号資産CFDを開始へ
SBI FXトレード株式会社は8月31日(月)午前7時から、FX専業会社では初となる暗号資産CFD取引サービスの取扱いを開始すると発表した。8月28日からこのサービスの新規口座開設受付を開始致した。暗号資産CFD取引は、暗号資産を対象とした差金決済取引。FX取引と同様、レバレッジを利用した売買が可能。土曜日、日曜日もマーケットが開いており、24時間、365日取引できる。
LayerXラボが東工大・首藤研究室と共同研究を開始
LayerXの研究開発組織「LayerX Labs」が、研究テーマの一つであるパブリックブロックチェーンの研究をさらに加速させるため、分散システムの専門家である東京工業大学 情報理工学院 首藤一幸准教授と共同研究を開始することを8月28日発表した。共同研究では、首藤研究室が開発するパブリックブロックチェーンのシミュレーター「SimBlock」を活用、EthereumのProof-of-Stake(PoS)向けプロトコル「Casper」を始めとする最先端のコンセンサスアルゴリズムの安全性や性能を分析する。
文・編集:濱田 優
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