ビットコインのマイナーが保有するビットコインが過去2年間で最多となった。ビットコインが1万1000ドルを超える水準で取引されるなか、将来の利益に対する強気姿勢が強まっている。
グラスノード(Glassnode)が調査したウォレットアドレスによると、ビットコインマイナーが保有する同暗号資産は182万ビットコインを超える。2019年9月に始まった上昇トレンドはその要因の一つだ。
グラスノードが調査しているマイナーのビットコイン保有高は昨年だけで約2%増加した。マイナーのビットコイン保有高が増加したことには、次の3つの理由が考えられる。
1:上昇傾向が続くという楽観的な見方
マイナーの保有データは強気シグナルを示していると、大手マイニングプール「F2Pool」の元ディレクター、トーマス・ヘラー氏は話す。同氏によると、マイナーは今後の価格上昇を期待して、当面の間、積極的にビットコインを保有していくと予測する。
だが、ビットコインを保有し続けているのはマイナーだけではない。すべてのビットコインのうち、少なくとも1年間移動されていないビットコインの割合は、6月に4年ぶりの高水準に達した後も増加を続けている。
2:新しいマシンを注文・受け取り・配備するプロセス
データセンターとマイニングインフラを手がけるGRIIDの戦略担当バイス・プレジデント、ハリー・スドック氏は、マイナーが新しいマシンを注文・納品・配備するプロセスを「ハードウエア・サイクル」と呼ぶ。このプロセスは、価格交渉と注文の規模によって最大6カ月かかると、同氏は説明する。
つまり、この設備入替の期間中は日々の運営費は小さくなり、運営費を捻出するために売却するビットコインは少なくなる。加えて、ビットコイン価格が高騰しているため、売却しなければならないビットコインは相対的に少なくなっている。
実際、Riot BlockchainとMarathon Patent Groupは今後数カ月で数百台の新しいマシンを導入し、マイニング事業を強化する。
新しいマイニングマシンを導入するなか、マイナーの収益は7月、7%増となった。最近の価格上昇と取引手数料の上昇がその要因だ(CoinDeskが分析したネットワークデータによる)。
3:新しいマイニングプールが大量のビットコインを蓄積
注目すべきは、保有高の増加分のかなりの部分をLubian.comが占めていることだ。
同社は2020年3月まではほとんど活動していなかった無名のマイニングプールだが、その保有高は2013年5月に設立されたF2Poolに匹敵する。
ここ数カ月でLubian.comのビットコインの保有高は大きく上昇し、8月27日には9373ビットコインとなった。3月中旬の1ビットコインからほぼ同じ伸び率を示している(グラスノードによる)。
BTC.comのランキングでは、同プールのハッシュレート(ビットコイン・マイニングに使われる計算能力を示す値)は現在、10位となっている。
翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Shutterstocck
原文:Miners’ Bitcoin Holdings Reach Two-Year High to Almost 2M