暗号資産(仮想通貨)のイーサリアムクラシック(ETC)は8月29日夜、同月で3度目となる51%攻撃を受けた。攻撃を確認したのはマイニング(採掘)企業のビットフライ(Bitfly)で、同社は8月1日に発生した最初の攻撃も発見している。
ビットフライのツイートによると、今回の攻撃によってマイニング2日分に相当する、7000ブロック以上が再編成(リオーグ)された。これまでの2つの攻撃ではそれぞれ、3693ブロック、4000ブロックが再編成された。
注目すべきは、イーサリアムクラシックを支えるリーダー的組織のETCラボ(ETC Labs)が先週、急激に落ち込んでいるハッシュレートを安定させ、次の51%攻撃に対抗するための防御的マイニングを含め、攻撃からネットワークを守るための戦略を発表したことだ。
ETCラボのテクノロジーコーディネーター、ステヴァン・ロジャ(Stevan Lohja)氏は、今回の攻撃のタイミングは「非常に怪しいものだ」とコメントしている。なぜなら、同ブロックチェーンの「積極的なイノベーション」についての主要な開発者による会議のわずか1日後に起きたからだ。
同ネットワークの開発を支えるもう1つの主要組織、ETCコーポラティブ(ETC Cooperative)は、29日の攻撃のあと、次のようにツイートをした。
「我々は本日の攻撃を把握しており、可能な限り迅速に、提案されたソリューションをテスト・評価するために他の組織と連携して取り組んでいる」
ETCの取り扱いを見直す取引所も
これまでの2度の攻撃のあと、暗号資産取引所のオーケーエックス(OKEx)は、セキュリティーの問題を理由にイーサリアムクラシック(ETC)の取り扱い停止を検討すると述べた。コインベース(Coinbase)もまた、預け入れと引き出しの承認時間を約2週間に延長するという抜本的な措置を取った。
大手暗号資産デリバティブ取引所のFTXは、今回の攻撃を受けて、イーサリアムクラシック(ETC)のパーペチュアル先物を再検討するとサム・バンクマン-フライド(Sam Bankman-Fried)CEOはCoinDeskあてのメッセージで述べた。CEOによると、FTXはスポット取引は扱っておらず、ETCのセキュリティーの欠如は先物取引の提供に直接的なリスクをそれほど及ぼさないが、再検討するという。
今回の攻撃が価格に与える影響は限定的で、当記事執筆時点の最新情報ではETCは6.86ドルで取引されており、2度目の攻撃のときの価格から4%弱の下落にとどまっている。ETCは8月中はおおむね6〜8ドルの間で取引されていた。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Shutterstocck
原文:Ethereum Classic Hit by Third 51% Attack in a Month