カナダの仮想通貨取引所クアドリガCXは数日以内に破産手続きに移行する。現地時間4月8日、裁判所が決定を下した。
ノバスコシア州最高裁判所のマイケル・ウッド(Michael Wood )判事の決定は、1月末から企業債権者調整法(Companies’ Creditors Arrangement Act:CCAA)のもとで再建が図られてきたクアドリガCXが来週、破産手続きを申請することを意味する。同取引所は幕引きを迎えることになる。
振り返ると、クアドリガCXはまず1月31日にCCAAのもとでの債権者保護を申請、同時に約1億3600万ドルの仮想通貨が引き出せなくなり、第三者の支払い処理業者が保有する5300万ドルを回収するために支援が必要と表明した。
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管財人のアーンスト・アンド・ヤング(E&Y)は第三者の支払い処理業者と他の仮想通貨取引所からの資産の回収に取り組んでいると報告したが、どれくらいの資産が回収できるかは不明。
しかし、本件を担当するウッド判事が前回のヒアリングで指摘したように、クアドリガCXに再建の見込みはないようだ。先週、E&Yは基本的にそれに同意し、「クアドリガが再建され、CCAAの保護を切り抜けることはほぼないと思われる」と述べた。
破産手続きへの移行は、管財人のE&Yに、クアドリガCXから消失した資産に対する、より強力な調査権限をもたらす。また同時にクアドリガの資産売却を可能にし、債権者にいくらかの利益をもたらすことができる。
破産手続きへの移行の決定は下ったが、再建手続きの停止はしばらく続き、訴訟担当の役員もしばらく残る。再建手続きの停止に関するヒアリングは4月18日に設定されている。
未亡人の資産は凍結
ウッド判事はまた、クアドリガCXの創設者で急死したジェラルド・コットン(Gerald Cotten)氏と、その未亡人ジェニファー・ロバートソン(Jennifer Robertson)氏に対する資産凍結命令を認めた。
先週、E&YはクアドリガCXの資産は「クアドリガ外部での資産の保有に使われた可能性がある」と述べ、乱用を指摘した。
ロバートソン氏はまだノバスコシア銀行の2つの口座(個人口座と法人口座)を通してクアドリガCXの資産を送ったり、受け取る可能性がある。だがE&Yはそうしたいかなる動きも監視する。
ロバートソン氏の全ての資産、つまり彼女の会社Robertson Nova Consulting Inc.、Robertson Nova Property Management Inc.、Seaglass Trustの資産も凍結される。
ロバートソン氏の資産の凍結命令に加えて、E&Yはクアドリガの資産を保有すると考えられている第三者の支払い処理業者の問題にも取り組んでいる。
Billerfy、Costodian、1009926 B.C.は4月18日を期限にE&Yに情報を共有する予定。Alto Bureau de ChangeとBlack Banx(元WB21)は資産の返却を迫られている。またVoPayは手数料を取らずに資産を返却すると述べた。さらにE&YはPOSConnectのシステムへのアクセスも認められている。
だが数多くの疑問は依然として残っている。クアドリガは主張するような資産を持っているのか、債権者は何人いるのか、E&Yはクアドリガのすべてのデータベースにアクセスできたのか……。
E&Yによる5回目の報告書は4月18日に公表される予定。
翻訳:Masaru Yamazaki
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Judge Michael Wood image via Nova Scotia Judiciary
原文:QuadrigaCX Officially Enters Bankruptcy With Millions Still Missing