DeFi(分散型金融)はその市場規模を急拡大させているが、グーグルでの検索データを見てみると、個人投資家の関心は限定的と言える。個人ユーザーをも巻き込んだ2017年の「ICO(新規コイン公開)ブーム」ほどには至っていないだろう。
Googleトレンドで「ICO」と「DeFi」という単語を検索すると、ICOはブーム時に大きな山があったのに対し、DeFiはほぼ一定で、わずかな上昇が見られる程度だ。
Googleトレンドは、Googleでの実際の検索数をもとにした指標だ。あるテーマに対する世界中の関心を示し、検索数を0〜100の指標で表す。ただし、実際の合計数は表示されない。
ICOブームの終焉
DeFiは分散型ネットワークを使うことで、古い金融商品をトラストレス(信頼できる第三者が不要)で、透明性の高いプロトコルに変えようとしている。
ICOバブルでは、数百万の投資家が価値のないトークンを掴まされることになった。IPO(新規株式公開)が企業の株式を取引所に上場させるのに対して、ICOは独自のコインを公開して資金を調達する。
データサイトのDeFiパルス(DeFi Pulse)によると、DeFiアプリケーションにロック(預け入れ)されている資産総額は年初から驚異的に増加し、90億ドルを超えている
DeFiに集まる巨大資金
この数字は2017年にICOで調達された54億ドルを上回り、「暗号資産の冬」を迎える直前の2018年第1四半期に調達された46億ドルの約2倍の規模だ。
現在、代表的な分散型取引所の取引高は、中央集権型取引所の取引高を追い越しつつある。例えば今週はじめ、ユニスワップ(Uniswap)の1日の取引高は中央集権型取引所ののコインベース・プロ(Coinbase Pro)を抜いた。
DeFiトークンの中には、例えば、AaveのLendトークンのように、ビットコインを大きく引き離して、今年3000%以上高騰したものもある。ビットコインは現在、年初から約40%の上昇となっている。
個人投資家の関心を集められない理由
DeFiが、ICOのような個人投資家からの大きな注目を集められていない理由の1つとして、DeFiの成長がICOよりも少数で、より専門的な投資家に支えられていることが考えられる。
つまり、暗号資産デリバティブ・トレーダーのキャンタリング・クラーク(Cantering Clark)氏が指摘するように、DeFiはICOバブルのレベルにはまだ達していない。バブルは通常、多くの個人投資家が興奮状態となり、先走った行動を取った結果だ。
「DeFiは徐々に拡大する持続可能なトレンド。ICOはそうではなかった」とスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)の共同創業者でCEOのスー・チュー氏は自身の見解を述べる。
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Google
原文:DeFi Is Hot but Retail Interest Nowhere Close to ICO Frenzy