モバイル決済サービスの米スクエア(Square)が、暗号資産の技術特許で連携を促す非営利団体を設立する。同業界において企業が特許で特定の技術を囲い込むことを防ぐことが目的だ。
スクエアは9月10日、非営利団体の「Cryptocurrency Open Patent Alliance(COPA)」の設立を発表した。
「特許で基礎的な暗号資産(仮想通貨)技術を囲い込むことはイノベーションと普及を阻害する。つまり、悪意を持つ者による特許の攻撃的な使用は、暗号資産技術の成長を脅かす」(同発表文)
自社の特許を守ることに加えて、「先制的特許取得」を行う暗号資産企業もある。開発計画がないにもかかわらず、競合他社の研究を妨害することが目的だ。
COPAのメンバーは、共有ライブラリーを使って、自社特許を他のメンバーが自由に利用できるようにする。ライブラリーは「特許攻撃者」からメンバーを守る「共同の盾」として機能すると、スクエアは述べる。同社は2018年に本格的に暗号資産業界に進出した。すでにライブラリーに自社の暗号資産特許を入れることを約束している。
アメリカの暗号資産とブロックチェーンに関連する特許数は2016年から2017年にかけて倍増した。マイクロソフトは人の活動に関するデータを利用して暗号資産マイニングを行うシステムの特許を申請している。IBMは「自己認識」トークンの特許を出願した。
COPAのライブラリーが成長し、注目を集めれば、より多くの企業がイノベーションを手に入れるためにCOPAへの参加を検討するようになる。よりフェアな特許環境が生まれると考えられている。
特許保有の有無にかかわらず、暗号資産にかかわる企業であればCOPAに参加することができる。COPAは、スクエアからは完全に独立した組織となり、独立した取締役会を持つと広報担当者は述べた。
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:スクエアのジャック・ドーシCEO(Frederic Legrand – COMEO/Shutterstock)
原文:Square Forms Group to Stop Patent Hoarding From Stifling Crypto Innovation