三菱UFJ×米アカマイ:“超高速”決済ネットワーク、2020年上期に開始。IoT、5Gで激増する少額決済

三菱UFJフィナンシャル・グループと米アカマイ(Akamai Technologies)が開発を進める、ブロックチェーンを基盤とする“超高速”決済ネットワークが実用化に向けてまた一歩前進した。

三菱UFJとアカマイが既に設立したグローバル・オープン・ネットワーク(Global Open Network)は、開発中の決済ネットワークを提供する事業会社としてグローバル・オープン・ネットワーク・ジャパン(Global Open Network Japan)を設立。サービスの開始は2020年上期を目指す。

三菱UFJ副社長・亀澤宏規氏とアカマイCEO(最高経営責任者・共同設立者)のトム・レイトン(Tom Leighton)氏が2019年4月19日に都内で会見を開き、明らかにした。

今後、IoT(Internet of Things=モノのインターネット)の導入が進み、あらゆるデバイスを介した膨大な数の少額決済が発生すれば、それを処理する決済プラットフォームが必要になってくる。三菱UFJはアカマイの技術力を駆使しながら、毎秒100万件の処理性能をもつ決済ネットワークの開発を進めてきた。

三菱UFJフィナンシャル・グループ副社長の亀澤宏規氏(撮影:CoinDesk Japan)

「IoT社会では今後、少額決済は劇的に増えていく。これを安全、高速、安価でできるペイメントネットワークを作り、ペイメント事業者やネットワーク事業者に提供できるよう準備を加速している」と亀澤副社長は会見で述べた。一方、レイトンCEOは「ブロックチェーンにはスケーリングし難いという課題もあるが、三菱UFJとアカマイとのパートナーシップで、次世代決済プラットフォームを築き上げていくと確信する」と話した。

両社はプラットフォームを「GO-NET」と名づけ、まずは国内市場で事業を進めていく。例えば、クレジットカードの決済取引では、加盟店や決済代行会社とペイメント事業者との間にネットワークを作り、事業者間の決済データ通信を行うことができる。ペイメント事業者は、大規模なシステム投資をせずに、大量の少額決済取引に対応できるようになるという。

第5世代移動通信システム「5G」が今後、増大する通信のトラフィック量に対応できるようになれば、IoTの利用は広がる。デバイス経由の決済はさらに増加し、現在の決済処理能力では足りなくなると、亀澤副社長は説明した。

「決済処理量のピークをどう制御するかが重要だ。今後5年、7年の間でこのピークをコントロールできるプラットフォームが必要になるだろう」と亀澤氏。同氏によると、GO-NETの運用では現在、「様々なパートナー企業と様々な議論」を行なっているという。

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文:佐藤茂、小西雄志
編集:浦上早苗
写真:CoinDesk Japan
(編集部より:会見内容を加えて、記事を更新しました)