WBTCの発行量、9月は過去最高の約650億円──8月の2倍以上に

WBTC（Wrapped bitcoin）は9月、過去最大の発行量を記録し、8月の2億3200万ドル（約245憶円）から6億1600万ドル（約650憶円）に増加した。CoinDeskが分析した取引データで明らかになった。

シカゴに拠点を置く相対取引（OTC）事業者のグレープフルーツのトレーダー、ゲッティ・ヒル（Getty Hill）氏は、成長を続けるDeFi（分散型金融）エコシステムでWBTCを利用した取引が急増していることが、背景にあると説明する。

暗号資産（仮想通貨）デリバティブ取引所FTXのサム・バンクマン-フライド（Sam Bankman-Fried）CEOは、FTXでも数カ月前のDeFiブームのピーク時ほどではないものの、WBTCの需要はきわめて大きいと話している。

今後数カ月にわたり、WBTCに対する需要は「以前よりも高い水準で継続する」と同氏は予測する。

新たにWBTCを発行した会社も

アラメダ・リサーチ（Alameda Research）は、姉妹会社のFTXにおける需要を背景に、過去2カ月にわたりWBTCの発行量でトップを占めてきた。8月には1億6000万ドルのWBTC、9月には3億600万ドルを発行した。

デューン・アナリティクス（Dune Analytics）によると、WBTCだけでなく、あらゆる形態のトークン化ビットコインの供給量は9月、120％増となり、8月の約5万5000ビットコインから12万1000ビットコインとなった。小規模のビットコイントークン化プロジェクトが成長しているという。

顧客から、renBTCやtBTCなどについての問い合わせもあるが、取引量は「WBTCが100％」とヒル氏は話す。

一部の相対取引事業者は、WBTCに加えて、renBTCなどのトークン化ビットコインを提案している。しかし、WBTCはトークン化ビットコイン市場の73％以上を占めており、当然ながら顧客の「大多数」がWBTCを求めているとバンクマン-フライド氏は述べる。

オンチェーンFX（OnChainFX）の最新データによると、WBTCでトークン化されたビットコインは10億ドルを超えたようだ。

翻訳：石田麻衣子
編集：増田隆幸、佐藤茂
画像：Wrapped Bitcoin, Coin Metrics, CoinDesk Research
原文：Record $616M of Wrapped Bitcoin Minted in September