今年、話題を集めた多くのDeFi(分散型金融)トークンは下落し、DEX(分散型取引所)での取引は小康状態となっている。最も派手なデビューを飾ったトークンの1つ、スシスワップ(SushiSwap)のSUSHIトークンはこの30日で77%下落。DeFiレンディング(貸付)を手がけるコンパウンド(Compound)のCOMPトークンは37%値を下げた。
また最大級の分散型取引所ユニスワップ(Uniswap)では、1日の取引高が9月1日に記録した過去最高の9億5400万ドル(約1012億円)から、2億2400万ドル(約238億円)へと大幅に減少している。
「暗号資産(仮想通貨)市場全体のボラティリティの低さが、取引高の減少につながった」と、デジタル・アセット・データ(Digital Assets Data)の暗号資産アナリスト、コナー・アベンドシャイン氏は述べる。
DeFi(分散型金融)はここ数カ月、投資家とトレーダーから大きな人気を集めていた。しかしその人気が招いたネットワークの混雑により、イーサリアムブロックチェーンの取引手数料は高騰。一部のユーザーの取引を妨げ、アプリケーション開発者が代わりのネットワークを検討するとの懸念が広がった。
データサイトのDeFiパルス(DeFi Pulse)によると、DeFiプラットフォームの預かり資産は、6月末の20億ドル(約2120億円)以下から9月には過去最高となる112億ドル(約1兆1900億円)に急増。現在は約100億ドル(約1兆600億円)まで減少している。
これにより、イーサリアムブロックチェーンの1日あたりのトランザクションはここ2週間強で、130万超から100万前後まで減少した。
取引手数料の高騰も解消へ
トラフィックの減少でネットワークの混雑はある程度、緩和された。しかし、一部のユーザーはトランザクションを優先的に処理してもらうために追加コストを支払う。結果的に、高騰していた取引手数料は低下した。
データ企業のグラスノード(Glassnode)によると、イーサリアムブロックチェーンの取引手数料の平均は、過去最高を記録した9月2日の14.58ドル(約1546円)から、2ドル(約212円)をわずかに上回るレベルまで低下した。それでもこの数字は、今年はじめの8セント(約8円)に比べると、はるかに高い。
「市場の注目を集めていたDeFiブームが落ち着くなか、イーサリアムの取引手数料は徐々に通常レベルに戻りつつある」とネム・ベンチャーズ(NEM Ventures)のニコラス・ペレカノスは述べる。
デジタル・アセット・データのアベンドシャイン氏は、「イーサリアムユーザーが安心できるのは一時的かもしれない」とした上で、新たなDeFiプロトコルが人気を集めたり、イーサリアム(ETH)の価格が持ち直せば、手数料はすぐに高騰する可能性があると話した。
イーサリアムは現在、9月1日に記録した2年ぶりの高値480ドル(約5万1000円)を大きく下回る、340ドル(約3万6000円)付近で取引されている。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Glassnode
原文:As DeFi Deflates, Ethereum Users Get Reprieve From Soaring Fees, Congestion