ビットコインの新規アドレスが急増している。業界関係者の1人は当局から告発された取引所のビットメックス(BitMEX)から、トレーダーが資金を移動させていることが理由と述べた。別の理由をあげる業界関係者もいる。
データ企業グラスノード(Glassnode)の「エンティティ・ネット・グロース(entities net growth)」指数は、ビットコインアドレスを持つエンティティ(個人、法人、取引所などの市場参加者)の増加を測定したもの。10月の最初の6日間で9750から3万3620へと244%急増した。
10月6日に記録した3万3620という数字は、2018年10月3日以来の高い数字だ。
仮説1. BitMEXからの移動
当局が暗号資産デリバティブ取引所のビットメックスを告発し、その結果パニックに陥ったユーザーが資金を他の取引所に移したことを受けて、増加ペースは著しく上がった。
10月1日に告発が発表されて以来、少なくとも4万ビットコイン(当記事執筆時点で約4億2400万ドル、約450億円相当)がビットメックスから流出している。
流出したビットコインの多くは、クラーケン(Kraken)、バイナンス(Binance)、ジェミニ(Gemini)などの大手取引所に属するアドレスに移動しており、そうしたアドレスの多くは新たに作成されたものだと話すのは、ステーブルコイン「EOSDT」を発行するEquilibriumの共同創業者兼CEO、アレックス・メリクホフ氏。
「それが新しいエンティティの急増の確かな理由」(メリクホフ氏)
仮説2. 新しい投資家の流入
しかし、オンチェーンアナリストのコール・ガーナー(Cole Garner)氏は異なる見解を持っており、新しいエンティティの急増はおそらく、新しい投資家の市場参入を示すもので、ビットメックスの問題とはほとんど関係がないと述べる。
その理由は、ビットメックスからの暗号資産の引き出しは10月1日、2日に急増し、その後は落ち着いているにもかかわらず、この5日間も「エンティティー純増加」指数が上がり続けているからだ。
「ビットメックスがアドレス増加の理由なら、指標はビットメックスからの資金の流出と足並みを揃えて動いたはず」とガーナー氏は10月6日にツイートしている。
だがメリクホフ氏は、ビットコイン価格が横ばいであることはその説と矛盾していると反論し、「新しい投資家が市場に参入したなら、ビットコインは上昇したはず」と付け加えた。
仮説3. 中国人投資家
3つ目の説は、暗号資産は今年最高のパフォーマンスをあげていると伝えた中国国営メディアのきわめて珍しい報道によって、中国の投資家がビットコイン市場に資金を投入したのではないかというものだ。
メリクホフ氏は、この説はより憶測に基づいたものだとコメントした。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:Shutterstock
原文:Analysts Can’t Agree on What Prompted Big Spike in New Bitcoin Addresses