ネスレの工場からカルフールの店舗までマッシュポテトを追跡。IBM「フード・トラスト」の利用広がる

スイスの食品大手ネスレ(Nestle)とフランスの小売大手カルフール(Carrefour)は、IBMのプラットフォーム「フード・トラスト(Food Trust)」を通して、消費者が製品データにアクセスできるようにする。

両社は2019年4月15日月曜日(現地時間)、ネスレの「Mousline」ブランドのインスタント・マッシュポテトがネスレの工場からカルフールの店舗に届くまでを追跡できるようにしたと発表した。このサービスは製品パッケージのQRコードをスマートフォンでスキャンすることで利用できる。

同サービスは、製品の生産データや品質管理パラメータだけでなく、貯蔵期間や倉庫の位置なども提供する。消費者は、原材料のジャガイモを生産した農家や加工方法の情報にもアクセスすることが可能だ。

発表によると、ネスレがブロックチェーンプラットフォームを用いて顧客にデータを共有するのは今回が初めて。

ネスレのシニアバイスプレジデントで、サプライチェーンのグローバルヘッド・ヴィニート・カンナ(Vineet Khanna)氏は以下のように述べている。

「我々は、正確かつ信用できる公正な情報を提供することによって、製品の透明性を向上させるために、(ブロックチェーン)技術を利用している。これは、小売業者や消費者を含む、バリューチェーン全体に恩恵をもたらす」

両社は「同技術の影響およびスケーラビリティ(拡張可能性)の理解を深め、今後の開発にあたっての判断材料として役立てる」ために、今後数カ月間、Mouslineの製品を使って同プラットフォームの試験運用を行なっていく。

ネスレは、同社がIBMのフード・トラストに創設メンバーとして参画した2017年からブロックチェーン技術の利用を検討してきた。カルフールがこのプラットフォームに参画したのは昨年10月。

IBMのプラットフォームに切り替える前、カルフールは主に社内のエンジニアチームのみで、1年以上にわたり独自のブロックチェーン開発に取り組んでいたと、同社のブロックチェーンプログラムでディレクターを務める、エマニュエル・ドレルム(Emmanuel Delerm)氏は述べる。

2019年4月11日、米食料品チェーンのアルバートソンズ(Albertsons Companies)もフード・トラストに参画し、ロメインレタスの供給者を追跡する試験的な取り組みに着手すると発表した。アメリカでは昨年、ロメインレタスが原因とみられる大腸菌感染が広がり、数人の死者を含む甚大な被害に見舞われた。

翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Nestle image via Shutterstock
原文:Nestle, Carrefour Team Up to Feed Consumers Data With IBM Blockchain